今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
夏空の青のように
今週のかに座は、我が身の奥底にある本能や野生を改めて賦活させていこうとするような星回り。
『丸かじり部活帰りの子のトマト』(稲畑廣太郎)という句のごとし。
青春のただ中にある若者が、その日焼けした手でトマトを丸かじりしている。この剥き出しの野菜をそのままかじるという行為も、大人の社会生活では見失われがちな本能的な喜びや動物本来の野性があくまで健康的に露呈している。
あなたもまた、さながら夏空の青のように、余計な言葉や文脈の一切を取り払ったところにおのれの心身を引き戻していくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
愛月心
今週のしし座は、国であれ会社や業界であれ家族であれ、それらを真に愛するために、いったんそれらを超えたところに身を置いていこうとするような星回り。
日本における代表的なキリスト教思想家の一人である内村鑑三は、既存の教会組織や儀式に依存しない「無教会主義」を提唱したことで知られています。
そして内村が初めて「無教会」という言葉を用いたのは、教育勅語への礼拝が不十分だったとして社会から厳しく糾弾されて職を失い、同志であるはずのキリスト教会からも追放され、病気になり、さらに妻までも病死してしまうという、公私ともに最大の逆境の最中で書かれた『基督信徒のなぐさめ』においてでした。
あなたもまた、普通なら逆境と感じる状況こそ、愛を取り戻すチャンスなのだということを念頭に置いて過ごしていくといいかも知れません。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
二度あることは何度もある
今週のおとめ座は、常識や慣習から一歩踏み外し逸脱していく予兆におののいていくような星回り。
『ハンモックより過ちのごとく足』(仲寒蟬)という句のごとし。
白昼のハンモックは、まどろみの子宮であり、そこからこぼれ落ちた一本の足は、予定調和的な時間の流れを切り裂き、決定的な過ちの芽をきざす。その光景は作者を介して、読む者の心の奥に、かすかな震えと熱を同時に残していくはず。
あなたもまた、自身もまた掲句に詠まれたような「危うい磁場」にどれだけ引き寄せられているか、思わずハッとするような瞬間を経験していくことになるかも知れません。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
月の岬にて
今週のてんびん座は、「生きる」ことの美学をめぐる言動を改めて一致させていこうとするような星回り。
昨今の首相外交での情けなさや国際政治の場での影響力の低下ぶりなどを目にするたびに、日本人の美学とは一体何だったのだろうと改めて考え込んでしまう人も少なくないのではないでしょうか。
おそらく、そうした問いに正面から取り組んだ人物が哲学者の九鬼周造でした。『「いき」の構造』の最後では、「運命によって「諦め」を得た「媚態」が「意気地」の自由に生きるのが「いき」である」と結論づけるのです。
あなたもまた、今この時代において美しさを取り戻すためにはどうしたらいいかということを改めて考え、自分なりに実践してみるといいでしょう。