ライフステージが大きく変わるバイラ世代は、住まいを見直す絶好のタイミング! 都内で暮らす30代女性に、“家を持つ”という選択が暮らしにもたらした変化や、住まいづくりの工夫について伺いました。
34歳で注文住宅を建てたご夫婦の住まいを2記事にわたってご紹介。自由にデザインできる点に加え、小さな子どもをのびのび育てられるところから注文住宅を選んだお二人。オーダーメイドの家づくりにかけた費用や住宅ローンの組み方など、家の購入にまつわる“お金のリアル”を明かします。
大きな窓から陽光がたっぷり差し込むリビング。ニューヨークで購入した一枚板のダイニングテーブルが空間の主役。
当初の予算は1億円。30代共働き夫婦の自宅購入マネー事情
東京都中野区で戸建てを購入されたこのご夫婦は、共働きをしながら、現在二人のお子さんの子育て中。
夫Nさんの海外駐在でNYに暮らしていましたが、帰国後すぐにマイホーム探しを始め、2023年に購入を決断したそう。
戸建て購入の予算は1億円まで。実際にかかった費用は、計1億1700万円
「当初は1億円以内の予算で探していましたが、都内で条件に合う土地と建物を見つけるのはなかなか大変で、最終的には土地が約6200万円、建物が約5500万円に。今の物件に出合ったとき、お金のやりくりが問題なくできるのか少し心配なところもあったので、夫の知り合いで生命保険会社に勤めている方にライフプランのシミュレーションをお願いしました。細かく試算してもらった結果、『これならジープくらい買える余裕あるよ』と言ってもらい、購入を決断!」(Kさん・以下同)
理想の間取りをかなえつつ、コストを節約できた理由
注文住宅の購入費用は、一部をDIYして数百万のコストカット
「一から自分好みに設計できる注文住宅。理想を詰め込もうとするあまり、あっという間に予算オーバーに。だからこそ、譲れないポイントを明確にしつつ、工夫しながらコストを抑えました。まず、壁の塗装やベランダのウッドデッキは、夫婦で材料を買いDIY。二人とも初心者でしたが、友人にも手伝ってもらいながらなんとか完成。これだけでも、数百万円ほどコストをカットできました。
ほかにも内装で妥協した部分はかなりあります。たとえば、洗面台はタイル張りにしたかったのですが、費用の都合で断念。キッチンも、当初は熱い鍋をそのまま置けるような高耐熱素材の天板が希望でしたが、予算に合わせてミドルグレードのものを選びました」
壁の塗装とベランダのウッドデッキづくりは、友人たちの力を借りながら自分たちの手で。壁が汚れたら、また自分たちで塗り直すという。
ローン借り入れで夫婦が選んだ選択肢
住宅ローンは、夫婦ともに住宅ローン減税が受けられる「ペアローン」を選択
「夫婦それぞれが、住宅ローン減税(最大13年間、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できる)を受けられ、団体信用生命保険にも加入できる『ペアローン』を選択しました。家を購入したのは、夫の海外赴任に同行していた私が帰国し、再就職したばかりのタイミング。そのため、私の勤続年数はまだ3年未満。住宅ローンは収入や勤続年数に応じて借入額が決まるので、結果的に『夫2:私1』の割合でペアローンを組むことになりました。今回購入した家は『認定長期優良住宅』に該当するため、本来なら夫婦それぞれが最大約5000万円まで、住宅ローン減税(年末残高の0.7%×13年間)の対象になるけれど、私の勤続年数や収入では控除枠をフルに生かしきれなかったのは悔しかったですね」
注文住宅に適した借入先をチョイス
「マンションや建売住宅の場合、支払いは『契約時の手付金』と『引き渡し時の残金』の2回が基本。でも、私たちが選んだのは注文住宅。土地の購入時、建物の着工時・中間金・完成時と、支払いのタイミングが複数回あります。そのため、『つなぎ融資』を利用しました。借入先には『協同住宅ローン』を選択。というのも、こちらは支払時の手数料が2回までなら発生しないんです。おかげで支出を100〜200万円程度抑えることができました」
玄関を入ってすぐ右手は、広々とした収納スペース。1階にはバスルームと寝室、子ども部屋を配置している。
住宅ローンの月々の返済額は、夫婦合わせて約20万円
「月々の住宅ローン返済額は、夫婦合わせて約20万円で、私はそのうち約7万円を負担しています。金利が低い変動金利型のローンで、35年かけて完済する予定です。住宅ローン減税(年末のローン残高に応じて所得税が控除される)のメリットを最大限に生かすため、13年間はあえて繰り上げ返済をせずに残高をキープする方針にしていました。でも、最近になって金利が大きく上昇し、当初のほぼ2倍に……。減税率を上回る負担になってしまったため、このまま返済を続けるべきか、それとも繰り上げ返済に切り替えるべきか悩んでいます」
家づくり成功のための夫婦の役割分担
金銭面は夫にまるっとお任せ。妻は物件のデザイン面を担当
「私がお金にあまり強くないこともあり、物件のデザインや間取りなど空間づくりは私が、住宅ローンや資金計画など購入に関することは夫に任せていました。でも、今後のことを考えると、生活費の負担や貯金のルールなどについても、もう少し具体的に話し合ったほうがいいかなと考えています」
天然木の温もりに、裸電球の無骨な雰囲気がほどよく混ざり合った心地よい空間。造作の机は子どもの遊び場に。