今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
永劫は決して過ぎ去らない
今週のかに座は、自分の人生を見失わないための心のお守りを改めて握りしめていくような星回り。
『蜩といふ名の裏山をいつも持つ』(安東次男)という句のごとし。
故郷をはなれて暮らす者にとって、疲弊しきって元気がなくなったり、明日のことを考えるだけでしんどくなってしまった時、ふと頭に浮かぶ「自分だけの裏山」ほど安心できる避難所はなく、それはあなたにとって一番の精神のよりどころに他なりません。
あなたもまた、そんな「自分だけの裏山」の気配を感じていく中で、どっしりみずからを鎮静させていきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
生活と喜び
今週のしし座は、「人間」らしく生きて在るための必要条件を貪欲なまでに整えていこうとするような星回り。
現代では情報技術の著しい発展により、「労働」と「行為」が大きくエンパワーメントされているのに対し、「制作」は「相対的にエンパワーメントが「弱い」」。つまり、社会から称賛されるわけでもなく、対価が得られるわけでもないにも関わらず、何かを「つくる」ことでこれまでなかったものを生み出し、(ちょっとでも)世界の変化に関与することで得られる手触りが現代ではすっかり感じづらくなってしまったのである。
しかし、そうした「制作」の快楽の困難に中にこそ、逆説的に、過剰なまでの労働至上主義(売れること)や中毒的な共同体回帰(話題になること)を抑制するだけのポテンシャルが隠れているはず。
あなたもまた、そんな困難な制作にあえてトライしていくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
図と地の反転
今週のおとめ座は、慌ただしい日常の中で忘れがちな「言葉に還元できない余白」に触れていこうとするような星回り。
『彼方の男女虫の言葉を交わしおり』(原子公平)という句のごとし。
この句を読んで、最初に感じるのは「虫の声」の二重性でしょう。一方では、はっきりとした意味の輪郭やまとまりを持たない声なき声。もう一方では、人間の耳にだけ「言葉」として届く自然の響き。いずれも、言葉のようで言葉でない、けれども確かに伝わるもの。
あなたもまた、できるだけ「社会的ゲーム」から逸脱し、ただ音の響きとしての交わりへと回帰していくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
両性具有化の先にあるもの
今週のてんびん座は、幻想の不可能性をよく認識した上で、次なる行動計画を練っていこうとするような星回り。
平安時代の貴族の結婚は、女たちはほとんど不動産のように生活空間と一体化して動かず、外から訪れてくる男たちの動きによってのみ発生していました。
宗教学者の中沢新一は、そうした中世における貴族的結婚の在りようは、女性たちに決して幸福と豊穣の感覚をもたらさなかった一方で、それを想像力を通して補おうとする「女性の文学」を生み出す原動力になったのだと述べていました(『日本文学の大地』)。
あなたもまた、男たちの幻想につきあうことで育まれてきた女たちの不幸と豊かな文学性を下敷きに、改めて自分が求めているリアルがどこにあるのかを明確にしていくことです。