今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
いまこことの共鳴
今週のさそり座は、動けぬ身であるがゆえにいつも以上に周囲の移ろいを鋭敏に感じ取っていくような星回り。
『初秋(はつあき)の簾(すだれ)に動く日あしかな』(正岡子規)という句のごとし。
「初秋」という言葉が孕むのは、盛夏を過ぎた安堵であると同時に、これから訪れる衰微の影です。病床の作者にとっては、自然の時間の移ろいと自分の容体の変化が重なりあって感じられたことでしょう。簾に斜めに差し込む日射しは、そのまま命の傾きをも告げるかのように。
あなたもまた、自分の身で肌に感じとったこの世の移ろいを何よりの手がかりに、「いまここ」の切実な実感を記録していきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ネコにならう
今週のいて座は、目的も必要も関係のない、何でもないところで誰か何かとねんごろになっていこうとするような星回り。
哲学者の鷲田清一は、『「聴く」ことの力』のなかで、患者の話をただ聞くだけで、解釈を行わない治療法を例にあげつつ、ケアというのは「なんのために?」という問いが失効するところでなされるものだ、と述べています。
家族であれパートナーであれ、何の条件もなしに、他の誰かと「ともにいる」ことがますます難しくなっている現代社会において、いかに他者を意味の外へ、自由な余白へと半歩でも連れ出していけるか、そしてそこに踏みとどまっていられるか。
あなたもまた、そんなことを念頭においてみるといいかも知れません。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
夢も鬼もうつつなり
今週のやぎ座は、得体の知れなかった存在が多少の親しみを覚えるそれへと変わっていくような星回り。
『虫啼くや灯(ひ)のまはり飛ぶ小さき鬼』(原月舟)という句のごとし。
目に映る虫が心の中で「鬼」に変わる瞬間には、作者の内的な感覚の揺らぎ、幻想と現実の境のあいまいさが凝縮されていく一方で、いったん夜をともにする相手となれば、次第にそれは恐怖や警戒の対象というより、むしろ実家の天井の染みのようにどこか親しみを覚える存在へと様変わりしていくはず。
あなたもまた、できるだけ内なる孤独や恐れをそこはかとなく共有できるような相手と過ごす時間を確保していくべし。