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切子職人・門脇裕二さん「繊細さを削り出す、表情豊かな江戸切子の世界」

インテリア

東京都・江東区。門脇硝子加工所で2代目職人として江戸切子の制作にあたられている、門脇裕二さんにお話をうかがいました。記念日や父の日の贈りものとしても人気の高い切子グラス。職人として、伝統工芸士として。江戸切子に込める気持ちと、思い出深いお客さまについても語っていただきました。

どう仕上がるか、それをたのしみに新作を手がけ続けられるんですね。

門脇さん: そうですね、それが、いつまで経ってもおもしろいんですよね。

お客さんから教わること

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門脇さん: あとは対面販売で、良いものを良い、と評価してもらえたときも幸せを感じますね。お客さんに喜んでいただけると、やっぱりうれしいですから。minneの販売でも、レビューやメッセージはおもしろいもので、ひとつひとつ丁寧に見ていますよ。

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贈りものとして購入される方も多いですよね。

門脇さん: そうですね。若い方がプレゼント用に買ってくださるのもうれしいですし、みなさん後日、「プレゼントしました」「喜んでいただけました」と言っていただけたりするので、ありがたいですよね。結果がわかる、と言うんでしょうか。

手仕事ゆえ、同じものは2つとない切子グラス。父の日の贈りものとして選ばれる方も多いんだとか。

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門脇さん: 「自分に贈る」ってひともいて、それもまたうれしい。

ああ、お酒のお好きな方がご自分へのプレゼントに、ということですか?

門脇さん: それが、そういった話ばかりではないんですよ。何年か前に、デパートの催事で、年配の女性がグラスを買いに来たんです。聞けば、「牛乳を飲むためのグラスがほしい」って。

牛乳ですか?

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門脇さん: 考えてみれば、「牛乳を入れたら、切子はどう映るか」の知識がないんですよ。白い液体は入れてみたことがなかったので。おばあちゃんにいろんな色をお見せしながら、一緒に考えましたね。「どれがいいんだろう」と。結果、エメラルド色のものを買って行かれたんですけど、数日後にまた来てくださったんです。「牛乳を入れたら、きれいだったよ」「本当においしかったよ」と。

それは思わぬことを、おしえていただきましたね。素敵なお客さん。

門脇さん: 考えてもみなかったことだったので、おもしろく感じましたし、そんなふうに喜んでいただけると、うれしくなっちゃいますよね。もうひとり、よくおぼえているのが、これも年配の女性なんですが、ちょっと体の調子が悪いそうでお薬を飲まれていて。普段は、よくあるグラスで飲まれてたそうなんです。だけど「本当は、自分の気に入った特別なグラスで飲めたらいいんだろうね」って。

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薬だからこそ、そういったたのしみを持たれたかったんですね。切子を選ばれたんですか?

門脇さん: ひとつ選んで買ってくださいました。実はその方も、数日後に来てくれて。「いつも安いグラスで飲んでいたときは苦かったのに、こないだ買ったグラスで飲むと薬が苦くないんだね」って言うわけなんです。もちろん、それは気持ちの持ちようで、いつもと違うグラスで贅沢な気分が味わっていただけたからかな、と思うんですけど、そうやって言っていただけると、本当に報われるというかね。ああ、よかったなと思いますよ。

持ち帰り、水を注いで飲まれたその様子と、そんな感想をいただいた門脇さんのお気持ちを想像し、なんだか胸がいっぱいになります。

つくり続ける、ということ

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今後、新たに挑戦されたいことはありますか?

門脇さん: 特別なにか、ということではないですけれど、新しいデザインは常に挑戦して仕上げていきたいですね。つくり続ける中で、本当にたくさんのものが生まれてくるので。

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門脇さん: 父はいま73歳で、現役で百貨店のイベントにも立って、つくって、売って…続けてますので。まだまだ先があるので、伝統工芸士として「江戸切子」の伝統を守りながら、永く愛されるものにしていきたいですね。

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