生理のある女性は鉄を多く必要とします。一方、アスリートや激しい運動をする人は足裏の衝撃で赤血球が壊れ、鉄不足に陥りやすくなります。鉄の基礎知識と、鉄の吸収を高めるコツ&レシピを管理栄養士が解説します。
生理のある女性は鉄を多く必要とします。一方、アスリートや激しい運動をする人は足裏の衝撃で赤血球が壊れ、鉄不足に陥りやすくなります。鉄の基礎知識と、鉄の吸収を高めるコツ&レシピを管理栄養士が解説します。
「鉄」の基礎知識
そもそも「鉄」とは?
鉄はヒトが生きていくためになくてはならないミネラル分の中の一種、カラダの隅々まで、全身の細胞に酸素を運ぶ赤血球の構成成分です。不足すると貧血となり、血色が悪い、疲れやすいなどの症状が現れることもあります。
鉄は1日どの位とればいいの?
厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準2015年版」では、鉄の推奨量(一日当たり)
男性:18~29歳7.0mg、30~69歳7.5mg
女性:成人(月経あり)10.5mg、
18歳~29歳(月経なし)6.0mg、30歳~69歳(月経なし)6.5mg
と記されています。
実際は鉄をどの位とっているのでしょう?
推奨される量は上記のとおりですが、厚生労働省が実施している、平成29年「国民健康・栄養調査」の結果によると
男性:20~64歳8.2mg
女性:20~64歳7.5mg
という結果です。年齢別にみると
男性:20~39歳7.3mg、40~49歳7.5mg
女性:20~39歳6.4mg、40~49歳6.8mg
月経のある女性を除けば、推奨値に届いているように読めます。しかし、数値としてはとっている。と安心できないのが鉄の落とし穴!食べ物に含まれている鉄は、食品や一緒に食べる物によって吸収率が変わるからです。
効率よく鉄をカラダに吸収するポイントは?
鉄を多く含む食品
鉄分が多く含まれている食品といえばレバー。他にも赤身の肉、貝、魚、野菜、海藻等に多く含まれます。
●肉類魚介類・ヘム鉄グループ
・レバー1串(50g)6.5mg
・牛ヒレ肉1切れ(80g)2.0mg
・鶏卵1個(60g)1.0mg
・鶏もも肉(80g)0.7mg
・牡蠣6個(100g)1.9mg
・アサリ水煮(10g)3.8mg
・かつおたたき(80g)1.5mg
●野菜海藻類・非ヘム鉄グループ
・がんもどき1個(80g)2.9mg
・納豆1パック(50g)1.7mg
・小松菜のお浸し1皿(50g)1.4mg
・ほうれん草のお浸し1皿(50g)1.0mg
・プルーン乾燥10粒(100g)1.0mg
ヘム鉄・非ヘム鉄とは?
鉄には肉や魚など動物性食品に多く含まれているヘム鉄と、野菜や海藻に多く含まれている非ヘム鉄の2つに分けられます。健康なヒトのカラダへの吸収率はヘム鉄が15~20%、非ヘム鉄は約2%といわれています。
非ヘム鉄の吸収の上げるポイントは?
・酸味のある食品と食べ合わせる
カラダへの鉄の吸収が低い野菜や海藻類の非ヘム鉄ですが、食べ合わせによって4%位まで吸収を上げることができます。非ヘム鉄を胃酸によって吸収されやすい形に変えればよいのです。酢やかんきつ類、梅干し。ビタミンCが多く含まれる野菜と一緒に食べることで、非ヘム鉄の吸収が上がります。
・肉や魚と食べ合わせる
また、肉や魚の動物性たんぱく質一緒に食べると、非ヘム鉄の吸収が良くなります。