たまに「お通じ」がなくなるというライトタイプから、トイレに何時間もこもるのが当たり前というハードタイプまで、多くの人が悩む便秘。おなかが張って苦しいだけでなく、肌荒れや肩こりといった症状が出ることも…。そんな便秘から解放されたい人のために、知っているようで知らない「お通じ改善方法」を紹介します。
便秘の判断基準は、頻度よりも快く思えるかどうか
いまさら説明する必要もないかもしれませんが、便秘とは腸内に大便が長期間溜まった状態を指し、一般的には3日以上排便がないと便秘と言われます。
しかし、1日でも出なければ「おなかが張ってツラい」と感じる人もいれば、1週間お通じがなくても「まったく問題なし」という人もいるなど、感じ方はさまざま。さすがに1週間は長いかもしれませんが、毎日でなくても気持ちよくすっきりと排便できるのであれば、それほど悩む必要はないようです。
逆を言えば、毎日お通じがあったとしても1回の排便量が少ない人や何だかすっきりしない人、トイレに長時間座り続けて無理やり排便している人は要注意ということ。毎日出さなければいけないと思うあまり、便秘が深刻化することもあるので、少し肩の力を抜いて便通について考えてみませんか。
誤解している人も多い…。意外な「便秘の原因」とは
便秘になると「食物繊維が足らない」、「腸の機能が低下している」などと言いますが、本当のところは何が原因なのでしょうか。実は、関係ないようにも思える行動が便秘を助長していることがあるようです。
■よくある便秘の原因1「便意の我慢」
大腸には便に含まれる水分を吸収する働きがあるため、便は大腸に留まっている間にどんどん硬くなって動きにくくなります。また、便意を我慢すると大便が溜まっていることを感知する腸内のセンサーが鈍り、次第に便意を感じにくくなります。
つまり、便意を我慢することで「大腸に便が溜まる→排便しない→便が硬くなる→排便しにくくなる&便意を感じなくなる→大腸に便が溜まる」という負のループから抜け出しづらくなるのです。
■よくある便秘の原因2「水分不足」
摂取する水分が少ないと、必然的に固くて出しづらい便になります。ただし、利尿効果を高めるコーヒーやお茶、ビールなどは逆効果です。
■よくある便秘の原因3「運動不足」
腸を活性化するためには、適度な運動で基礎体温や自律神経を整えることが必要。大腸まわりの筋力が低下すると、便を体外に押し出す力が弱くなるので腹筋を鍛えることも大切です。
■よくある便秘の原因4「ストレス」
ストレスによって自律神経が乱れると、腸の動きが鈍くなって便秘や下痢を起こしやすくなります。中には便秘と下痢を交互に繰り返す人も…。だからと言って気にしすぎるとそのストレスでますます便通が悪くなることもあるので、整腸に効果のある運動や食事を取り入れながら上手に気持ちを紛らしてください。
■よくある便秘の原因5「偏った食事」
美容や健康のため、炭水化物を控えてタンパク質を多く摂取する食事を心がけている人も多いと思いますが、便秘体質には逆効果。食物繊維が豊富に含まれる炭水化物を減らし、ほとんど便にならないタンパク質を増やすということは、大腸の動きを弱めて便秘になりやすいからだをつくっているようなものなのだそう。また、動物性タンパク質や脂肪分の多い食生活を続けると腸内環境が乱れることも。
便が詰まっているときに根菜類やイモ類などに含まれる不溶性食物繊維ばかりを摂ると、かえって腸内に留まる便の量が増える可能性もあるので注意が必要です。
■よくある便秘の原因6「慌ただしい朝」
「朝はギリギリまで眠っていたい」、「毎朝バタバタで1分もムダにできない」という気持ちもわかりますが、朝食を抜くのも朝のトイレタイムを確保しないのもNG。起床後、胃に食べ物や飲み物が入ることで大腸が刺激され、排便が促されます。せっかくの排便チャンスを台無しにしないためにも、少し早めに起きて快便のための朝活をはじめてみてはいかがでしょうか。
■よくある便秘の原因7「便秘薬」
慢性的な便秘の人にありがちなのが便秘薬の飲み過ぎ。下剤などの刺激の強い薬を常用すると効果を感じにくくなったり、ガスが発生しておなかの張りが増したりすることがあるので、薬は賢く利用しましょう。
この他にも、大腸や骨盤底筋の異常、ホルモンや神経の病気、薬の副作用などが便秘の原因になります。何をしても改善が見られない場合や便秘が1ヵ月以上続く場合はただの便秘と思わずに、一度医師に相談することをおすすめします。
百害あって一利なし。便秘を放置すれば美しさも健康も損なう?
便秘は単純に便が出ないだけだと勘違いしている人もいるかもしれませんが、そのまま放っておくとさまざまな影響があります。
まず、便秘になると下腹部がぽっこりと出たりおなかが重く感じたりするのは、腸内の悪玉菌がどんどん繁殖してガスが発生している所為。そのガスが膨満感や腹痛を引き起こし苦しい状態が続きます。そのまま便秘を放置すると、腸だけでなく内臓の動きに影響を及ぼすようになり、食欲不振、吐き気、肌トラブルなどが起きやすくなるだけでなく、自律神経の乱れによる肩こり、イライラ、不眠、頭痛などに見舞われる可能性が高まります。
また、ごく稀ではありますが、宿便が腫瘍化したり、ガスや便が逆流して嘔吐したりすることもあるそう…。便秘症の女性に多い「切れ痔(裂肛)」も慢性化すると潰瘍になって肛門が狭くなることがあります。
このように、さまざまなリスクを伴う便秘だからこそ、早めの対策が大切です。
これだけは覚えておきたい、便秘解消につながる8つの心得
さまざまな「トラブル」の可能性があるリスキーな便秘。恐ろしい事態を避けるためにも、便秘を予防・解消するために必要な方法を8つまとめました。この中から自分に足らないと思うものを習慣化して、すっきり体質を目指しましょう。