緑深い鎌倉の山の中腹に建つインテリアデザイナーの家。薪ストーブに吹き抜けのある黒い箱は、和を再構築したインテリアに彩られていた。
黒皮鉄の壁の前でブルテリアの谷氏と。イスはアルミニウムを原材料としたネイビーチェア。
アイアンのフェンスは藤沢のさいとう工房にオーダー。書棚との組み合わせが独特の世界観を構築。
オリジナルで考案したワゴン式収納。奥の方の食器も楽に取り出せる。
2階の凹凸のある床はフレンチパイン。階段〜3階は無垢のナラ材で。
「吹き抜けは戸建てならではのものですから、絶対に設けたいと思っていました。光が下に落ちていく具合も計算しました」。
3階の南側に設けたスリットから入る光が、2階のLDKに届く。吹き抜けを介して、それぞれのフロアの気配も感じることができる。
「3階の居室にも仕切りをつくるつもりはなくて、真ん中を解体できるクローゼットで仕切っているだけなんです。建具などもほとんど使っていないので、実はローコストで建てられましたね」。
薪ストーブを炊けば、真冬でも3階まで暖かい空気が流れる。居心地のよさからか、自宅で過ごす時間が長く、鎌倉に来てから外食することなどもほとんどなくなったそう。
「最寄りのコンビニまで10分、レストランも早く閉まってしまったりと、決して便利ではないですが、ここに来て暮らしを楽しむようになりました。デザインを考えるのも楽しかったし、今は終わっておもちゃを取り上げられたみたいで(笑)。これからはDIYで少しずつ変えていくのが楽しみですね」。
手すりには竹をDIYで取り付けた。スリットから光が差し込み、吹き抜けを介して家族の気配が伝わる。クローゼットも以前の1.5倍の容量に。
現在は妻・朋子さんの仕事机などを置いている部屋。こちらの開口からは崖が望める。
「入居当初は朝、鳥の鳴き声がうるさいくらいで…」というベッドルーム。
鎌倉の空気にしっくりとなじむ家。バルコニーではハーブなどを育て料理にも活用。
新谷邸
設計・建築 アーク・コンストラクト
インテリアデザイン a3
所在地 神奈川県鎌倉市
構造 木造SE工法
規模 地上3階
延床面積 120㎡