健康に良いと言われている「甘酒」。大きく2種類存在しますが、それぞれ風味や含まれる栄養成分、効果効能が異なります。2種類の甘酒の特徴を知って、効果的な甘酒生活を始めましょう!飲む際に役立つ飲み方や注意点を、管理栄養士が解説します。
「酒粕甘酒」と「米麹甘酒」の違い
甘酒には酒粕から作るもの(以下、酒粕甘酒)と、米麹から作るもの(以下、米麹甘酒)の2種類があります。風味はもちろん、カロリーや栄養成分なども異なりますが、基本的にはどちらも栄養が豊富に含まれています。(※1)
特に「米麹甘酒」は、“飲む点滴” と言われているほど栄養価が高く、女性を中心にブームとなりました。“飲む点滴” と言われる由来は、点滴の栄養成分と似た栄養成分が含まれているためだとか。
この記事では米麹甘酒に着目して、具体的な栄養効能をひとつずつ解説していきます。今日からすぐに試せるおすすめの飲み方や飲む際のポイント、アレンジレシピも要チェックです!
米麹甘酒に期待できる、女性に嬉しい効果効能
美肌作りのサポート
米麹甘酒には、ビタミンB2やB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンなどのビタミンB群が豊富に含まれます。(※2)
ビタミンB群にはたんぱく質の代謝を促進し、肌を構成する皮膚の元になるアミノ酸の生成を助ける働きが。しかし、水溶性ビタミンで熱で壊れやすい性質があるため、甘酒を温めて飲む際には加熱しすぎないよう、人肌程度の温度までにとどめておきましょう。(※3)
ダイエットのサポート
米麹甘酒に数多く含まれる酵素のひとつである「リパーゼ」には、脂肪を分解する働きがあります。また、米麹の生成過程で生まれるブドウ糖が血糖値をあげることで、満腹感を覚えて食べ過ぎを防ぐと言われています。(※4,5)
カロリーは、米麹甘酒も酒粕甘酒も同等です。ただし、酒粕甘酒は砂糖を入れないと甘くない一方で、米麹甘酒のほうが砂糖なしでも甘みがあるのでカロリーを抑えられます。
便秘対策
米麹甘酒には、食物繊維とオリゴ糖が豊富に含まれています。米麹の食物繊維は、水溶性と不溶性が両方とも含まれているのが特徴的。どちらの食物繊維も腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を整え、不溶性食物繊維は腸を刺激して排便を促します。(※2,6)
オリゴ糖もまた、腸内の善玉菌を増やすことで腸内環境を整える作用があるため、食物繊維とのダブル効果で便秘の対策に効果的です。(※7)
疲労回復のサポート
米麹甘酒に含まれるビタミンB1には、エネルギーを生産するための代謝を助ける補酵素としての役割があります。(※3)
米麹甘酒を使って料理を作る際は、玉ねぎや長ねぎなどのねぎ類や、にんにくなどの香味野菜と合わせるのがおすすめ。これらの野菜に含まれるアリインが、ビタミンB1の吸収率をアップさせますよ。(※8)
高血圧対策
甘酒に含まれているアミノ酸のひとつに「GABA」(γ-アミノ酪酸)という成分があり、血圧を下げる作用が期待されるとして注目されています。(※9)GABAは、アミノ酸の代謝に関わるビタミンB6との食べ合わせが良いと言われており、ビタミンB6も豊富に含む米麹甘酒を飲むだけで一石二鳥なんですよ。
甘酒の飲み方とポイント
温めて飲む際には、人肌くらいまでの温度にするのがおすすめです。温度が高すぎると米麹甘酒に含まれている酵素が失活してしまったり、ビタミンB群が壊れるなど、せっかく豊富に含まれている栄養が少なくなってしまいます。(※10)
飲む時間や量に関しては、特に決められたことはありません。しかし、飲み過ぎや夜遅い時間の飲用は、太る原因となるため控えましょう。
甘酒を飲むときに注意したいこと
子供は飲んでも大丈夫?
アルコールを気にされる方が多いですが、米麹から作られている甘酒であればまったく問題はありません。米麹を生成する過程ではアルコールが発生しないため、「酒」と名前についていてもノンアルコールの飲み物です。
酒粕から作る甘酒の場合は原料の酒粕がアルコールを含んでいるので、なかには注意が必要なものもあります。購入するときは、よくパッケージを確認するようにしましょう。(※1)