メンタルの弱さの原因って?
メンタルが弱い人の特徴を見てきましたが、それは生まれつきなのか、という疑問がわいてくるかもしれません。脳の機能の個人差が影響している可能性は否定できませんが、基本的には、育てられ方の影響が大きいと考えられます。
自分に自信が持てない育てられ方とは?
例えば、何かをうまくやったとき、「上手にできたね!」「〇〇ちゃんは本当にすごいね!」と言われて育った場合と、「それくらいはできて当然ね」「もっと上手にできるようにがんばりなさい」と言われ続けて育った場合とでは、その後のメンタルに違いが生じます。
子どもは親や大人の言うことを素直に受け止めます。
前者のように言われたら、「わたしはデキる子だ」と信じるようになります。すると、困難なことがあっても挫けず頑張り続ける人に育ちます。
一方、後者の場合は、「これくらいで満足してはいけない」と思うようになり、困難なことがあったときには「わたしはダメな子だ」と思い込んでしまいます。
それゆえ自信が持てなかったり、他者評価が気になったりと、メンタルが弱い人によく見られる特徴を持った人に育っていくのです。
メンタルを鍛える3つの方法
メンタルが強いと思われているトップアスリートでさえ、メンタルトレーニングで鍛えています。
メンタルトレーニングは、競技種目や選手の性格などによってさまざまな方法があるのですが、ここでは、一般のビジネスパーソンに役立つ簡単なものをご紹介します。
(1)場慣れする
慣れないことをするときは、誰でも緊張したり不安になったりするものです。
例えば、クレーム対応。初めてのときはドキドキして逃げ出したくなるかもしれませんが、何度も対応しているうちに当初ほどドキドキしなくなります。
具体的なトレーニング方法としては、少しずつ場慣れしていくことが役に立ちます。
同僚にクレーマー役をしてもらって模擬対応をする。ひとりで対応しないで上司や先輩が対応している場面に同席させてもらう。軽いクレームのときに途中から代わってもらって対応する。といったように場慣れを繰り返していくことで、クレーム対応にかんするメンタルは強化されていきます。
(2)ハードルを下げる
例えば、接客販売の場合、「お客さまに買ってもらわなきゃ」「ノルマを達成しなきゃ」と思うからプレッシャーに押しつぶされそうになるのです。こういうときは、自分のハードルを下げましょう。
「今日は〇名のお客さまにあいさつをする」「今日はお客さまに新作を紹介する」といった簡単な目標を設定し、決して売ろうとはしないで、その目標達成だけを考えます。
「あいさつをするだけ」「新作を紹介するだけ」であれば、それほど緊張せずに行動できるのではないかと思います。自分にとって高いハードルを設定してしまっているからプレッシャーを感じるのであって、低いハードルを設定すれば、それほど怖がらずに接客できるはずです。
「売らなくていいんだ」と気軽な気持ちで接客したほうが、かえって売れたりするかもしれません。
(3)自分を説得する
失敗したとき、「なんて情けないんだ」と自分を責めて落ち込んだり、「自分はもう無理だ」と心が折れて憂うつになったりするかもしれませんが、そんなときには自己否定をやめなければなりません。
自己否定を続けていると、どんどん気分が落ちていって立ち直れなくなってしまいます。
自己否定をやめるには、自分を肯定する言葉で自分自身を説得することが効果的です。例えば、次のような独り言を何度もつぶやいてみてください。
「たいていはうまくいくのに、今回は裏目に出ただけのことだ」
「経験したことがない失敗なので、十分な対策ができなかっただけだ」
「失敗したからって、命までとられるわけではない」
失敗を正当化することで、自己否定は止まります。あとは、今回の反省を次回以降に活かすよう考えていけるといいでしょう。