仕事が辛い、辞めたい、と悩んでいませんか?こんなとき、どうしたらいいのでしょうか。仕事がつらいのは当たり前?辞めたいのはもしかして甘え?外資系OLのコラムニスト・トイアンナさんに、対処法を教えてもらいました。
仕事は辛いのが当たり前。そんなふうに思っていた時期がありました。激務の職場にいたころ、成功した先輩方が誰しも辛さを乗り越えた経験を語っていたからです。
「毎晩2時になると吐き気が襲ってきて、トイレで戻していた」
「目を瞑ると、自分が首を吊っているところが浮かんでいた」
なんて笑顔で語る先輩方を目に、「ハハハ、私は限界っす……辞めたいっすね」と言う勇気はありませんでした。
仕事とは辛いのが当たり前? 「辞めたい」は甘えなのか
ただ、今思い起こすと、辞めたいと感じるのも当たり前の環境ではありました。辛い時期を乗り越えた先輩方は笑っていましたが、志半ばでウツになり退職する方も多かったからです。
「あのときは辛かったよ~」と語る方がレアな生き残りで、あのとき自分が潰れてもおかしくなかったんだ、と今なら思えます。
でも、仕事が辛いときほど、そういう視野を持てません。止まらない涙を抱えながら、「泣くのは甘えだ」とか「新人だから辛いのは当たり前だ」と自分を追い込んでしまいがちです。
仕事が辛いときとは……病みかけているサインです
でも、ちょっと考えてみてください。
「ああ、会社行きたくないな。っていうか、行けるかなあ……。体が重いなあ。昨日、お酒飲んだわけでもないのに。辞めたいな。いや、せめて異動したい。とにかく上司や同僚の顔を見たくない……」
と、思い始めたときって、もう病みかけていませんか。
ここで踏ん張りをきかせて生き残る人もおります。でも、その背後にはポキリと折れて復帰できない方も山ほどいることを忘れないでください。冒頭に出てきた“サバイバー”はごく一部です。
もともと私の勤め先は、メンタルがタフな人を面接で採用していました。それなのにポキリと心が折れ、病んでしまう人がたくさんいたのです。
もし、自分がとびきりタフだと思えないなら、「辞めたい」「異動したい」「せめて今日休みたい」という心の悲鳴を聞き逃さないでください。
特に、ムリヤリ口角を上げて笑っている自分に気づいたり、食欲、睡眠に影響が出たら注意信号です(これらは私がウツで退職する社員を観察して見出した、ウツや体調不良で倒れる前兆です)。
ウツはひどくなると、精神科へ通う力すら奪います。手足が動くうちに「いやあ、ちょっと眠れなくって。このままじゃ本格的に病んじゃうと思ったので、早めに来ました」と軽いノリで精神科へ相談しておいた方がいいと思います。
行きたくない。仕事が辛いときの対処法
また、仕事が辛いまま病むまで無理をして、退職まで行ってしまった人に話を聞くと「仕事で行き詰まったとき、周囲へ相談するのが下手」な傾向にあります。
例えば、職場で上司とうまくいかなくても「人間関係が辛くて、辞めたい。上司の上司も、きっとこの状況を分かっていて、そのうえで私の乗り越え方を見ていらっしゃるんだ……」なんて考えやすいのです。
ですが、上司の上司・周辺部署・人事の視点では、あなたが悩みを訴えない限り実情に気付けないものです。
特に偉い人というのは、業務量が多く、大量の「これ確認してください」「例の件ですが……」といった質問に返事をするだけで、あっという間に日が暮れる日々を送っています。
多忙な方々には部下の様子を聞かずとも察する力など、残されていないのです。
ですから、自分のチームから“ウツになって倒れたと報告”が入ると、部長クラスは大半が「なんで相談してくれなかったのよ~!」と頭を抱えます。
あなたは管理職に無視されたと感じてきたかもしれませんが、あちらには察する力が残っていないだけかもしれないのです。