マイナビウーマンのコア読者は“28歳”の働く未婚女性。今後のキャリア、これからどうしよう。結婚、出産は? 30歳を目前にして一番悩みが深まる年齢。そんな28歳の女性たちに向けて、さまざまな人生を歩む28人にインタビュー。取材を通していろんな「人生の選択肢」を届ける特集です。
取材・文:ameri、撮影:須田卓馬、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部
「努力の天才」。それは彼女のことを呼ぶのだと思う。
フリーアナウンサーの田中みな実さん。TBSアナウンサーからフリーに転身後、現在はアナウンサーとしてだけではなく、モデル・女優としても活躍している。今や雑誌やドラマに引っ張りだこだ。
食べるものにとことん気を使い、ボディメイクには余念がない。“女性が憧れる女性”像を作り上げ、2019年12月に発売した写真集は累計発行部数が60万部を突破した。
華奢な体にくりっとした瞳。だけど、彼女が持っているのは“かわいさ”だけではない。そこにはブレない軸がある。そして、内に秘めた強さがある。
彼女はここまでたどり着くのに、どんな選択をしてきたのだろうか。マイナビ TGC 2020 S/S の舞台裏にて、人生のターニングポイントについて聞いてみた。
後押しがなければ進めないなら、考え直した方がいい
「自分の中で大きなターニングポイントだったと思うのは、アナウンサーになったときと、フリーを選択したとき。あとは、今回写真集を出させていただいたことも大きな転機になったかな」
そう言ってふわりと笑う。人生における大きな決断を何度も経験しているが、迷いはなかったのだろうか。
「大きな決断をしているときって実はあまり悩んでいなくて。先のことを考えると不安になってしまうから、そのときの感覚を信じて『今だな』と思ったらとにかくやってみることにしています」
何かを選ぶとき、新しい環境に飛び込むとき、そこにはいつだって不安がつきまとう。誰かに頼ってしまったり、アドバイスを求めてしまったり、なかなか一人では決められない。
「大きな決断をするときは人の影響を受けることがありません。誰かにアドバイスを求めたこともないと思います。アドバイスを求めてしまうと、逆に気持ちが揺らいでしまう気がして」
かわいらしい見た目とは裏腹な、決断するときの漢気がかっこいい。
「TBSのアナウンサーになるときもフリーになるときも、両親へは事後報告でした。進みたい道が決まっているのであれば、誰かに相談せずとも突き進んでいいのではないか、と思います」
無駄なくはっきりと話す姿は、さすがアナウンサー。言葉の端々から、頭の回転の速さと“自分の人生の舵は自分で切る”という意思の強さが感じられる。
「自分の中で答えは決まっているはず。逆に、誰かのアドバイスや後押しがなければ進めないような決断なら、もしかしたら考え直した方がいいのかもしれません」
今の仕事は、求められたことに応えてきた結果
最近は、テレビ番組のMC以外にも幅広い仕事に挑戦している田中みな実さん。雑誌を読んでも、インスタグラムや密着番組を見ても、一つ一つの仕事に対して全力で、完璧に仕上げている姿が印象的だ。
「お芝居も雑誌も美容のお仕事も、オファーをいただいて、求められたことに120%で応えて、気付いたらこのように形になっていました。右も左も、向いているかどうかすら分からないけれど、『求めてもらえるのなら、そこで頑張ってみよう』。そう思えたのです」
生きていると、ちょっとしたことで悩んだりつまずいたりする。毎日のように「ああすればよかった」「こう言えばよかった」と頭の中で反省会を繰り広げてしまう。田中さんは仕事でそんなふうに悩んだことがないのか、尋ねてみた。
「『あの番組で、あのとき、ああいう返し方が適切だったかな?』そんなふうに悩むことはしょっちゅう。でも、今置かれている環境に対して必要以上に考えたり悩んだりしないようにはしています。たま~に深く考え込んで負の感情に支配されてしまうこともあるけれど……(笑)。
立ち止まって悩んでいても、物事はすさまじいペースで進んでゆく。ならば、根拠のない自信を持って進んでみた方が、おのずと結果が伴うんじゃないかなって」
強い。とにかく強い。自分を信じて進む、というブレない軸を持っているから迷わないのだ。いつだってまっすぐで、全力だ。
「TBSを退社してから、『フリーになってよかった?』とよく聞いていただくんですけど、必ず『よかったと思う』と答えるようにしています。そりゃあ、局に残ればよかったと思った瞬間も度々ありましたよ。でも、自らの決断を自らが肯定してあげないで、誰がしてくれる? 進むべき道を決めたら、間違っていなかったって自信を持つことも大切だと思うんです」
だけどそんな彼女も、自分自身の仕事を振り返って反省することがあるという。
「『これでよかったのだろうか』と悩んだり、自信をなくしたりしたら、ずんと落ち込んでから、次でどう挽回できるかを考えます。失敗は成功体験でしか拭えない。私の場合はそうすることでしか、悩みを乗り越えられないと思っています」