今週のしし座の運勢

illustration by ニシイズミユカ
老人のように
今週のしし座は、自分の権利や功績を主張することの危うさに気付いていくような星回り。
岩手県遠野地方に伝わる逸話や伝承を記した『遠野物語』というと、著者の柳田國男の名を広く世に知らしめた作品というイメージばかりが先行しますが、厳密には柳田は記述者に過ぎず、実際の伝承者は民話蒐集家であり小説家でもあった佐々木喜善でした。
さながら『古事記』の伝承者が稗田阿礼で、記述者が太安万侶であったように。今日の私たちは、著作権とか知的財産権などを持ち出して「著者」なるものの既得権が絶対的なものであるかのように勘違いしていますが、人生の真実を言い表わすのに、ほんらい著者などというものは存在しないのです。
どうしたらより肌身で感じ、その精髄に触れられるかどうかの方が、著者が誰であるかなどといったことよりも、よほど大事な問題なのではないでしょうか。今週のあなたもまた、自分が目立つことよりも実質的な力を得ることをこそ優先していきたいところです。
今週のおとめ座の運勢

illustration by ニシイズミユカ
歌に託して
今週のおとめ座は、自分を傍に置いておきたいと思える相手の姿が、スッと浮き彫りになってくるような星回り。
「月やあらぬ我身ひとつの影法師」という句を詠んだ松永貞徳は、江戸時代前期の歌学者でもあった俳人。掲句は平安時代初期の在原業平の「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして」をもとにしたものです。
去年の春の夜に逢った恋人を思う歌ですが、作者はその歌の言葉をそっくりそのまま拝借して、秋の句へと転じています。時は流れ去って、自分の影法師があるだけ。そうとると、とても切なく、寂しい俳句のように感じられるかも知れません。
しかし移ろう時は止めることはできてなくても、自分の思い一つであればいつまでも誰かの傍にとどめておくことができるのだ、という意図が暗に示されている一句とも解釈できるのではないでしょうか。あなたもまた、思いの丈を鋭く研ぎ澄ませた上で特定の「誰か」に向かってそれを解き放っていくことがテーマとなっていきそうです。
今週のてんびん座の運勢

illustration by ニシイズミユカ