今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自由な行き来を楽しんで
今週のかに座は、長いあいだ忘れていたものを思い出していくような星回り。
「草の香の秋の昼寝となりにけり」(星野繭)という句で詠まれている「草の香」とは、秋にさまざまな草が実を結ぶころの香りのこと。なんとなく心の奥行きがスーッと広がっていく時のような、その独特の感覚は他の季節にはない透明な新鮮さで存在の根底から清めてくれるようでもあります。
作者は農家の夫を支える主婦とのことで、一見すると平凡な生活詠に見えるものの、そういう境遇にありながら自身の句集まで刊行するほどに俳句へと駆り立ててしまうものは、決して“平凡”ではないはず。
今週のあなたもまた、自然と自分が鋭敏になっていかざるを得ないような誰か何かと向き合っていく中で、初心に返っていくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
お庭でゆらゆら
今週のしし座は、より自分らしくあり続けられるよう、環境要因を整えていこうとするような星回り。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスがつくったリュケイオンという学校には散歩道があって、彼は実際にそこを散歩しながら講義をしていたそう。他愛ない会話だけでなく、哲学的な議論が深まるかどうかは「正しさ」であるとか「合理性」のようなものから、どのように距離を取れるかで決まってくるのです。
つまり、TEDなら3分でまとめられるような話を、あえて3時間かけてあれやこれやとおしゃべりするといった圧倒的な「効率の悪さ」こそが、哲学の原初の姿であり、それは今なお有効な哲学するための戦略なのだということ。
今週のあなたにとってもまた、そうした自分なりに深く考えていくための環境を誰かに与えられるのをただ待っているのではなく、能動的に獲得していくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
with煩悩
今週のおとめ座は、この世を生きていこうという覚悟を改めて固めていくような星回り。
「芋を食べ秋水を飲み清浄身」という句を詠んだ作者・山蔭石楠は、終戦の秋、二十代で得度したもののその三年後に病気のため還俗し家業を継いだ、いわば半僧半俗の人。掲句にも、そうした生き様が否が応でも滲み出ています。
浮き世を離れきれず、戻ってきてしまった自分を責めるでもなく、かといって何の引っかかりもなく肯定している訳でもない。ただ、結局そこからしか自分は人生を始めていくことができないのだという、ある種の開き直りとも言える心境がうかがえます。
今週のあなたもまた、そうした「たかが」と「されど」のあいだに立って、捨てきれぬ人生への思いを拾っていきたいところです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
負けるが勝ちよ
今週のてんびん座は、豊かな悲しみに浸っていくような星回り。
恋愛を筆頭に、人と関わるということは本質的に超絶めんどくさいことです。しかし、めんどうなりに楽しさや美しさもあって、でもやっぱり汚さもあったりするんですよね。そして、そういうあれやこれやを経て、誰か何かを最終的に引き受けたり引き受けなかったりする。
自分が好きでも相手が自分のことを好きかは分からないし、仮に好きになってもらえたとしても、そのタイミングでまだ自分も相手が好きかどうかは分からない。そもそも相手に自分がしてあげられることなんて、本当はこれっぽっちもないかも。
人間、相手が何を感じて何を考えどう幸せなのかなんて、最後までわからない。だから、どこかで腹をくくって「それでも好きだから」と言うしかないんでしょう。うまくいけば今週は、あなたが心から「負けました」と思えるものと出会えたことを、余計なものを交えずに、ただただ純粋に感じていくことができるかもしれません。