今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
シンプルにいきましょう
今週のかに座は、人間としてのあつかましさを均(なら)していくような星回り。
自分の“真価”だとか、はたまた“他の人にはまね出来ないオリジナリティー”などを証明しようなどと意気込むと、大抵ろくなことはおきない。あるいは、斬新なアイデアや華麗なテクニックなど、そうと意識して盛り込もうとすれば、あつかましい「味」しかしてこないものです。
もっとあっさりとして、余計なものを入れないようにした方が、かえって「味」というものに囚われず、体に入れたいものを入れて、入れたくないものは入れないというシンプルだけれど奥深い基本に向き合っていけるのではないか。
今週のあなたもまた、「作為的な知恵」や「力まかせ」というところからいったん離れて、ふだん自分がしている営みに改めてまなざしを向けてみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
今ここへ向けて
今週のしし座は、過去のしこりを「とき」ほぐしていくような星回り。
「負まじき角力(すもう)を寝ものがたり哉(かな)」(与謝蕪村)のポイントは、「角力を寝もの」の「を」のところで、時間が折れ曲がっている点にあります。「角力」に負けたのは過去ですが、「寝ものがたり」をしているのは現在で、二つの時間を複合させているのです。
負けるはずがなかったのになあ、という過去に囚われている思いがまだ残っていて、それを引きずっている。しかしそれを現在のおそらく妻との「寝ものがたり」で溶きほぐそう、今できることに目を向け直そうとしているのでしょう。
そして、本人もそういう「今ここ」に戻ってこようとしているのだと思います。今週のあなたもまた、もうそこにとどまり続ける必要のない思いや感情から解放されていくための「ときほぐし」がテーマとなっていきそうです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
役割をこなす勇気
今週のおとめ座は、自分が出会う最も奇妙なもの、奇異なものに対処する勇気をふるっていくような星回り。
現代人は表情が貧しくなったという記述を読んだことがありますが、「顔」については昔から様々なことが言われてきました。その中でも、詩人のリルケが遺した唯一の長編小説『マルテの手記』のはじめの部分では、「人はみな幾つもの顔を持っている」と述べられています。
中には不気味なほど早く、顔をつけかえたり、外したりする人もいる。自分ではいつまでも顔のストックがあると思っているが、四十歳になるかならぬかで最後の一つになってしまう人もいる。これは悲劇である。そういう人は、顔を大事にすることを知らなかったからボロボロになったのだ、と。
今週のあなたもまた、これまで見ないようにしていた真実の光景に改めて目を向け直していくことになっていくでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
おのれはどこに立っているか
今週のてんびん座は、動かしたくても動かすことのできない現実を受け入れていくような星回り。
「秋かぜのうごかしてゆく案山子哉」(与謝蕪村)という句は、作者が45歳の秋に作られた一句。ふらりと訪ねてきた友人に九州旅行へと誘われるも、先立って還俗し、妻をむかえた身であるから今すぐに京を離れる訳にはいかないと誘いを断り、代わりにこの句を詠んだのだそうです。
つまり「秋かぜ」とは友人のことであり、一歩も動けないでいる「案山子」が作者自身のこと。その後その友人は連れもなく、独りで九州への旅を終えたのち、ほどなくこの世を去ったとされています。
作者はその後も生き続け、多くの仕事を為しましたから、この句を詠んだ時の判断は仕方がなかったのでしょう。今週のあなたもまた、投げ出す訳にはいかない自分の果たすべき務めということについて改めて判断や認識を迫られていくことになりそうです。