今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
生き様=死に様
今週のさそり座は、腹のなかみを洗いざらいぶちまけていくような星回り。
「山碧く冷えてころりと死ぬ故郷」(飯田龍太)は、故郷・甲府について詠んだ句。といっても、どこかマイナスイメージから発想された故郷であり、みずからの終末の地というとらえ方です。しかし、そうすることがかえって故郷への愛着を強く引き出しているのでしょう。
作者の父・飯田蛇笏は24歳で文学の道を断ち、東京から戻って家を継ぐことを決心しましたが、作者自身は兄たちの相次ぐ死によって、決断をする十分な暇さえなく家を継ぐことになりました。掲句には、そのあたりの鬱屈した想いも潜んでいるはず。
ただ一方で、自分のありのままの想いを隠すことなくさらけ出しても、それを受け止めてくれるのは故郷しかない。まがりなりにも厳しい寒さに耐えながら生きて生きて、生き切ってきたんだ、という清々しさが「ころりと」という言葉によく表れているように思います。あなたも、どこかで自分の生き様/死に様に対して腹をくくっていくことがテーマとなっていきそうです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
創造的な場所にいること
今週のいて座は、みずから熱い議論や意見交換を求めていこうとするような星回り。
カフェや喫茶店としての「コーヒーハウス」がヨーロッパ全体へと広がっていったきっかけは、1652年にロンドンでの開店を機にイギリスで起こった大ブームでした。コーヒーはなぜか潜在的に宗教や伝統的な社会制度や価値観とは折り合いが悪いようですが、実際のところコーヒーハウスが「非生産的」な場であったかと言えば、答えはノーでしょう。
ニュートンが『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』で披露したアイデアのほとんどはコーヒーハウスで芽吹いたものであったし、アダム・スミスの『国富論』の原稿もやはりコーヒーハウスで書かれました。またしばしば熱い議論が繰り広げられ、異分野の人たちが集まって意見交換をする場となっており、『ペニー・ユニバーシティ(一銭大学)』などという愛称まであったのだとか。
今のあなたもまた、そんなかつてのコーヒーハウスのように、クリエイティブな発想を生み出される場へと自主的にアクセスしていけるかが問われていくはずです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
理屈よりも確信優先
今週のやぎ座は、客観的な尺度とは別の、魂にぴったり重なるような等身大の豊かさを再発見していくような星回り。
「窓の雪女体にて湯をあふれしむ」(桂信子)は、肉体の存在感が力強く迫ってくる一句。ふつうは裸体より着衣のほうがエロティックな雰囲気は増すものですが、窓の外の冷たい「雪」を持ち出して内側のあたたかさと対比させるなど、あざとさを感じるぎりぎりのところまで来ている掲句には、そうした一般論など寄せ付けない力があるように感じます。
少なくとも、女でなければ絶対に詠えない世界というものがあって、湯船に浸っている肉体は丸みを帯びていなければなりませんし、湯があふれた際にそこで動いているのは女の細腕でなければならないのです。
それはみずからの身体性を受け入れつつもそれを持て余しているエネルギーの充溢の光景と見ることもできるのではないでしょうか。今のあなたもまた、肉体であれ才能であれ好きなものであれ、一周まわって自分の手持ちの資産を最大限に活用していこうという機運が高まっていくはず。