isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
星乃せいこさんによる「毎月の運勢グラフ」も配信しているので、こちらもぜひチェックしてくださいね♡
今週のおひつじ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
傷口と言葉
今週のおひつじ座は、自身をひとつの境界(ボーダー)そのものと感じていくような星回り。
「ディアスポラ」とは、元来は「離散」ないし「離散地」を意味するギリシャ語。2世紀のエルサレム陥落以降、世界の様々な地域に離散して暮らさざるを得なくなったユダヤ人の在り方を指す言葉です。
そしてその暮らしの中では異文化との融合、あるいは異文化への同化が、意識的・無意識的に進行していった訳ですが、近現代の植民地支配を典型とする文化的な支配・被支配の関係は、多くの人々に言語の習得の過程で社会的かつ暴力的な他者性を刻印し、そこでは言語による自己表現において恐ろしい屈折をはらんできました。
例えば、近代以降の日本でも英語教育が当たり前になされてきましたが、英文は読めても自国の数百年前の文献は読めないという日本人はとても多いでしょう。そういう意味では、日本人もまた知らず知らずのうちに、ディアスポラ的な屈折を抱え込んでしまっているのだと言えます。あなたもまた、自分が無意識のうちに慣れきってしまった断絶や受け入れてしまっている被支配的な構造について、改めて見直していきたいところです。
今週のおうし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
さっぱりとした後味とともに
今週のおうし座は、いい意味での諦めをもって踏み切っていこうとするような星回り。
「定年の前に辞めしと冷奴」の作者・遠藤若狭男は、昭和23年生まれのいわゆる団塊の世代の人で、若さから上京して長らく高校教師をしながら作句活動をしていました。この句は、知り合いが定年前に勤め先を辞めたのだという話を聞かされて詠まれたもの。俳句仲間なのかも知れませんが、どちらかというと久しぶりに会った学生時代の友人という雰囲気で、居酒屋で冷奴(ひややっこ)でもつつきながら打ち明けられたのでしょう。
当時は、今のように会社員をやめてフリーランスでやっていくなんて人はまだほとんどいなかった時代でしたから、作者も心配の声を発した一方で、どこか羨ましいという気持ちが湧いてきたことにも気付いたはず。
ひとしきり飲んで別れたあとの帰り道で、きっと作者は「お前はどうなんだ」と自問したのではなかったか。あなたもまた、惰性に流されるのではなく、どこかで諦めをもって自分の仕事を選んでいきたいところです。
今週のふたご座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
私信をきわめる
今週のふたご座は、大衆的人気や分かりやすい成功とは、別角度の方向に自身の歩みを繰り出していくような星回り。
20世紀を代表する大作家、ボルヘスが編んだ世界文学アンソロジー集『バベルの図書館』の、イギリスの小説家アーサー・マッケンについて書かれた文章に次のような箇所があります。彼のことを「マイナー詩人」と呼び、「苦心の散文で書かれた彼の作品は、詩作品のみがもつあの緊張と孤独を湛えている」と書いているのです。
「また、マイナーと呼んだわけは、マイナーな詩とは種々のジャンルの一つであって、決して下位のジャンルというものではないと考えるからである。それが表現している音域はあまり広くはないが、その口調はつねにより親密なものだ。」
この記述に従えば、ボルヘス自身もまたマイナー詩人と言っていいかも知れない。彼がノーベル賞をもらえなかったのは、マイナーなジャンルにしか手を染めなかったことも大きかったであろうし、また、ごく限られたテーマを一生涯倦むことなく、繰り返し取り上げ続けたその「表現している音域」もまた、けっして広いとは言えないものでした。あなたもまた、鋭く狭く深くなにかを突いていくべし。