浅野寿和(心理カウンセラー)
生きていれば誰しも「心が折れる瞬間」があるものです。仕事であったり、学校生活であったり、さまざまな場面で心が折れることがあります。では、そうした心が折れた状況から立ち直るにはどうすればいいのでしょうか? 心理カウンセラーの浅野寿和先生に話を聞きながら、「心が折れたときの立ち直り方」を探ります。
■「心が折れる」ってどんな意味?
「心が折れる」とは、目標を達成しようとする意欲を失ってしまったり、志半ばで諦めてしまったりすることを意味します。「心」は前向きな言動を支えているもの。その心が折れて支えがなくなると、前向きな気持ちを維持できなくなりますよね。
■心が折れてしまう原因とは?
では、心が折れてしまう原因にはどんなことが考えられるのでしょうか?浅野先生に聞いてみました。
◇心が折れてしまうのはなぜ?
心が折れる最大の理由は「自分への失望」です。たとえば、以下のようなことが挙げられるでしょう。
☆男女関係
失恋・離婚・死別・浮気の発覚は心が折れてしまう代表的な原因です。自分の好意を伝えたけど断られた。愛し合っていると思っていたパートナーが実は他の異性と関係を持っていた、などが原因で自分に対しても失望し、心が折れてしまうのです。
☆職場の対人関係
信頼していた上司・同僚・仲間の裏切り・心変わりなどです。信頼していた仲間が自分の評価を下げるようなうわさを流していた、など自分が信頼していた人からの裏切りに遭うと、人への不信感が強まります。それと同時に自分にも失望し、心が折れてしまいます。
☆私生活での対人関係
典型例は「いじめ」です。周囲からの無視、陰口、陰湿な攻撃などで「自分など存在する価値がないのではないか」と感じてしまいます。人は誰かからいじめを受けると、「いじめられた私に何か悪いところがあったのでは?」と、必要以上に自己否定を強めます。その結果、自分に存在価値を感じられず心が折れてしまうのです。
☆日常の中での失敗
たとえば、絶対に失敗してはいけない状況での失敗など、多大な影響を及ぼすような大きなミスに直面すると心が折れやすいですね。「悔やんでも悔やみきれない」と絶望的な気分になります。また、今までできたことが「できなくなった」ときも心が折れやすいもの。これらはすべて自分への失望です
◇心が折れてしまいやすい人の特徴って?
心が折れる大きな原因は自分への失望ですから、「自分に失望しやすい心の状態」の人は心が折れやすいですね。
具体的には
☆劣等感が強く、失敗やできないことをすぐに恥じる
☆人を頼らない、自分のことを隠す
☆些細なことでもついうそをついてしまう
☆不安やストレスをため込み、我慢する
☆休めない、休むと言い出せない
☆完璧主義で何事も白黒はっきりさせようとする
☆自己否定が強めでマイナス思考
☆挫折経験が少ない優等生タイプ
☆思い込みが激しく、不安の先取りばかりする
☆物事を考えすぎる、先延ばしにしがち
などです。言い換えれば、「日頃から心の中で人とのつながりを感じない状態」になっている人は、心が折れやすいといえますね。