汗の悩みを抱えている人へ
オーダーメイド漢方YOJO薬剤師の道川佳苗です。汗をかく季節、急に汗が出て止まらなかったり、自分の汗の匂いが気になったりと不快な思いをしたこともあるのではないでしょうか?今回は汗の悩みに対する漢方的なアプローチ方法をご紹介します。
寝汗や多汗で悩んでいませんか?
暑い時に体温調節のためにかくさらっとした汗は問題ありませんが、寝汗を大量にかいたり生活に支障が出るほど大量の汗をかく場合は、治療が必要かもしれません。
しかし汗の問題では、明確な原因が特定できない場合も多くあります。このような場合にも漢方の考え方を用いることで症状が緩和されることがあります。今回は漢方の考え方で考えられる異常な汗の原因をタイプ分けして対策法をご紹介します。
1.気(エネルギー)が不足しているタイプ
漢方の考えでは「気」は生命エネルギーを表し、汗が漏れ出ないようにするはたらきがあります。そのため、気が不足している「気虚(ききょ)」という状態であると疲れやすく、異常に汗が出る多汗の症状がみられることがあります。
気虚タイプの対策法は?
気を補う食材を摂る
米、イモ類、きのこ類、鶏肉、やまいもなどがおすすめです。胃腸の働きを良くするために、冷やさないように温かい料理で取り入れましょう。
おすすめの漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・・・気を補う漢方薬で、疲れやすく食欲がない場合に向いています。多汗症の治療に用いられます。
2.汗っかきでむくみやすいタイプ
むくみやすい体質の人は、体に余分な水が溜まってしまいうまく排出できない「水滞(すいたい)」という状態です。むくみやすいのに汗っかきな人は、水分代謝を促すことで異常な汗の症状が改善されることがあります。
水滞タイプの対策法は?
水分代謝を促す食材を摂る
もやし、海藻類、メロン、スイカ、玉ねぎ、アスパラガス、きゅうりなどがおすすめです。
おすすめの漢方薬
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)・・・水分代謝を促進し、胃腸の調子も整えてくれることで体に溜まった余分な水分を排出しやすくなります。体内の水分バランスが整うことで異常な汗の症状を改善します。
3.更年期によるホルモンバランスが乱れているタイプ
更年期には、突然顔が火照って汗がたくさん出る「ホットフラッシュ」に悩まされる人が増えます。これは、女性ホルモンの減少に伴い、自律神経のバランスも乱れるためと考えられています。
漢方では、更年期の汗に対しては「肝」や「腎」を補うことが必要とされています。「肝」とは栄養分や潤いを運ぶ血を貯蔵する場所であり、「腎」とは生命力や成長、生殖を司る場所です。加齢に伴い「腎」の機能が低下するので、「腎」を補う食材を摂ることで加齢による不調の軽減に役立ちます。