生理の起こる仕組みや、排卵のこと、実は正しくわかっていないという人も多いのでは? 正しい知識をもっておくと、自分の不調とつきあいやすくなるから、まずは知っておこう。
1.生理の基本と30代、40代から起きること
生理に関係しているのが、エストロゲンとプロゲステロンという二つの女性ホルモン。「生理後はエストロゲンが増え、その影響で子宮内膜が厚くなります。そしてその分泌がピークになると排卵が起き、すると今度はプロゲステロンが増え、子宮内膜はさらに厚くなり妊娠成立に適した状態に。妊娠が成立しなかった場合は、両方のホルモンが減り、子宮内膜がはがれ落ちて血液とともに排出されます。これが生理です」
30代から起こる変化
・基本的には生理は安定する年代
「エストロゲンの分泌がピークになり、生理は安定する年代。一方で、子宮頸がんが見つかりやすい年代でもあるので、2年に1回は子宮頸がん検査を受けて。また、子宮内膜症も増える年代なので生理痛がひどい場合も受診を」
40代から起こる変化
・経血量は減少傾向に
「エストロゲンの分泌量が減り始めることで子宮内膜も減るため、経血量が少なくなったり、生理期間や周期が短くなったりします。逆に経血量が増えたら子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症の可能性があるので婦人科へ」
2.排卵の基本と知っておきたい不妊・排卵障害
排卵は妊娠成立に必要なもの。「生理後にエストロゲンが分泌されてピークに達すると排卵が起こり、その後、妊娠が成立しないと14日後くらいに生理が起きます。生理が毎月きているなら、排卵も起きていると考えられます。排卵日は確実には特定できませんが、排卵後にプロゲステロンの分泌が増えると体温が上がるので、 基礎体温を測って低温期と高温期の2相に分かれたら排卵がちゃんと起きているということです」
Q 生理がきていても 排卵できていないことはある?
A
「あります。生理がすごく早くきたり、すごく間があいたり、少量の生理が長期間ダラダラと続く場合は、無排卵月経の可能性が。これはストレスなどによって脳の視床下部に負担がかかり、エストロゲンが充分に分泌されていないことが原因。不妊を招くので婦人科で治療を」
Q 多囊胞性卵巣症候群とは?
A
「若い女性に多くみられる排卵障害が多囊胞性卵巣症候群。卵胞の成⻑が途中で止まり、多くの⼩さな卵胞(囊胞)が排卵されず卵巣にとどまってしまう病気。エストロゲンは充分に分泌されているのですが、排卵が起こりにくくなるため不妊の原因にも。プロゲステロンを足すことにより出血を起こす治療法やピルなどで治療可能」
3.生理のリズムをおさらい
生理周期に伴うエストロゲンとプロゲステロンの変動のリズムは、自分の体調変化と関連づけて考えるのに役立つので要チェック!
4.月経困難症とは?病気が隠れていることも
生理痛がひどい状態は月経困難症という病気。「生理前に子宮内膜からプロスタグランジンという物質が産生され、子宮が収縮して経血が排出されます。この物質の作用が強い人は収縮する力が強くなり、痛みが強くなる傾向が。また、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因の器質性月経困難症の場合もあり、生理痛がつらい人は生理痛がない人と比べ子宮内膜症に2.6倍もなりやすくなるというデータも。我慢せず治療を」
病気が隠れている「器質性月経困難症」の場合も
子宮内膜症
子宮内膜と似た組織が卵巣や腹膜など子宮以外にでき増殖する病気。進行すると腹腔内などに癒着が起き、不妊の原因にも。症状はひどい生理痛や性交痛など。
子宮筋腫
子宮の壁にできる良性のこぶのこと。40歳以上の女性の約半数に子宮筋腫があるといわれている。症状は、ひどい生理痛、経血量の増加やそれによる貧血など。
子宮腺筋症
子宮の筋肉内に子宮内膜に似た組織ができ増殖する病気。 30代後半~40代の女性に多い。主な症状は、ひどい生理痛や経血量の増加、それによる貧血など。
4.PMSの主な症状とPMDDチェックリスト
生理前に心身に不調が起きるのがPMS(月経前症候群)で、特にメンタル症状が強い場合がPMDD(月経前不快気分障害)。「どちらも生理前にエストロゲンとプロゲステロンが増減することが原因で、むくみや便秘、頭痛、過剰な食欲が出たりすることも。プロゲステロンが増加する時期には交感神経が優位になったり、精神を安定させる脳内物質が減ったりするため、メンタル症状も出やすいのです。以下のような症状が出るならPMSやPMDDと考えられます」
PMSの主な症状
《体の症状》《精神的な症状》■ 乳房の痛み■ 抑うつ気分■ お腹の張り、腹痛 ■ 怒りっぽくなる ■ 頭痛■ イライラ■ 手足のむくみ■ 不安■ 便秘■ 引きこもり