睡眠と深い関わりのあるホルモンが、「メラトニン」です。メラトニンが不足すると、「朝スッキリ目覚められない」「夜なかなか寝つけない」といった、睡眠の悩みを抱えてしまう原因に。そこで、今回はメラトニンの基礎知識や増やし方について、あんしん漢方の薬剤師、有島ゆいさんに伺いました。
良質な睡眠の鍵「メラトニン」とは?
メラトニンは、脳の松果体という小さな部位で作られるホルモンです。体内時計に働きかけて自然な眠りをもたらす働きがあることから、別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。
メラトニンの分泌は、目覚めてから14〜16時間ほどで始まります。メラトニンが分泌されるとからだはリラックス状態になり、自然な眠りへと導かれます。
そして、明け方に光を浴びることでメラトニンの分泌が止まり、からだは覚醒状態へと向かいます。
このように、睡眠と覚醒の切り替えを行うメラトニンは、睡眠の質を左右する重要なホルモンなのです。
メラトニンが増えるメカニズム
そんなメラトニンを増やすためには、材料となる「セロトニン」を増やす必要があります。セロトニンとは、脳で働く神経伝達物質の一種です。
このセロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から生成されます。トリプトファンは体内では生成されないため、必ず食事から摂取する必要があります。
食生活でメラトニンを増やす方法
それでは、食生活でメラトニンを増やす方法をご紹介します。
トリプトファンを摂取する
先にも述べたように、トリプトファンはメラトニンの生成に欠かせない栄養素です。以下に、トリプトファンを多く含む食材をご紹介します。
<トリプトファンを多く含む食材>
・豆腐や納豆などの大豆製品
・チーズやヨーグルトなどの乳製品
・卵
・バナナ
メラトニンを増やすために、これらを積極的に摂取しましょう。
よく噛んで食べる
よく噛んで食べることで、セロトニンの分泌が活性化されることがわかっています。セロトニンを増やすことは、メラトニンの増加にもつながります。
食事の際は、一定のリズムでよく噛んで食べることを意識しましょう。
睡眠の質を上げる生活習慣の3つのポイント
さらに、食事以外で睡眠の質を上げる生活習慣のポイントをご紹介します。
①朝に太陽光を浴びる
朝起きたら、まずは太陽の光を浴びましょう。そうすることで、メラトニンの材料であるセロトニンの分泌が促されます。
また、太陽光の刺激で体内時計がリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整うので、質の高い睡眠が得られやすくなるでしょう。
②適度な運動をする
運動も、睡眠の質を上げるために欠かせない習慣です。適度にからだを疲れさせることは、良質な睡眠につながります。
ただし、激しい運動は脳を覚醒させてしまうので注意が必要です。ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を行いましょう。
③夜はブルーライトを浴びない
スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトは、脳を覚醒させ、睡眠の妨げになってしまいます。
また、光の刺激がメラトニンの分泌を抑えてしまうので、これらの機器を寝る前に操作しないようにしましょう。