早いものでもう12月間近。今回は、美しい和菓子の写真とその紹介文がInstagramで人気のaiko.0213さんに、今年出会ったなかで印象的だった和菓子のベスト5を教えていただきました。次にその季節が訪れるのが楽しみになる、四季を大切にした美しい和菓子をぜひチェックしてください。
5位 ハーブや果物の調和に驚く「ハーブ金団」
和菓子通のaiko.0213さんが選ぶ、今年のベスト和菓子。5位から順にご紹介していきます。
5位は、ふんわりとした粉雪のような見た目の「ハーブ金団(きんとん)」です。
四季折々の食材を活かした和食とお菓子を作るカフェ「銀座凮月堂」に春季限定で登場したもの。名前のとおり、ハーブが香る珍しい和菓子です。
きんとんとは、練切餡や羊羹を裏漉ししてそぼろ状にし、餡の周りに付ける上生菓子。こちらのきんとんは、生のローズマリーエキスを煮出して香りづけしたオリジナルの羊羹から作られているそう。中には、抹茶餡と木苺餡で包まれた求肥が入っています。
「ローズマリーの爽やかな香りに抹茶と木苺の餡の風味が重なり、華やかな余韻が広がります。断面の色合いも美しく、考え抜かれたお味と色彩のバランスが素晴らしい逸品でした」(aiko.0213さん。以下同)
4位 絵本のワンシーンのような「月夜に黒猫」
4位は、黒猫のシルエットに驚く「月夜に黒猫」。
1778年に新潟県長岡市で創業した「越乃雪本舗大和屋(こしのゆきほんぽやまとや)」のお菓子です。
越乃雪本舗大和屋では、季節ごとに美しいモチーフを表現した生菓子が登場する一方、クレヨンや積み木をかたどった遊び心あるお菓子も販売しています。10月からは、上生菓子が3種類届くサブスクリプションサービスを開始しました。
ハロウィンがテーマだったその10月に届いたうちのひとつが、こちらの月夜に黒猫だったそう。透明の錦玉(きんぎょく)に、羊羹でできた黒猫と赤い月、コウモリが浮かび上がります。
「まるで絵本の中の1ページのように目を惹くお菓子。小さなお菓子に描かれたハロウィンの世界観にわくわくしました。お味は正統派で、ぷりんとした食感の錦玉に程よい甘さの羊羹がよく合います。今後のサブスクリプションのお菓子も大変楽しみです」
3位 レースのようなレモンが浮かぶ「レモン羹」
3位は、透明感があり涼しげな「レモン羹」。
群馬県桐生市の山あいで季節の移ろいを感じながら、ひとときの美をお菓子に託しているという「香雲堂」の夏の一品です。
透明の錦玉羹にハーブのバタフライピーで着色し、レモンを散らしたもの。酸性のレモンにより、青いバタフライピーが紫色に変化するそうで、ところどころグラデーションができているのも魅惑的です。
「紫の美しい色合いと、レースのような繊細なレモンが芸術品のようでした。お味は酸味が爽やかで、夏に繰り返し食べたくなります。フォロワーさんからの人気もとても高かった一品です」
2位 花びらの形も色もまるで本物の「薔薇」
2位は、本物の花と見間違えてしまいそうな「薔薇(そうび)」。
1947年から東京・赤坂で続く「御菓子司 塩野」の上生菓子です。
塩野はしばらく仮店舗にて営業していましたが、5月に新築本店舗が開店。新店舗でも以前と同様に、清潔感のある店内に美しい和菓子が並んでいます。
その5月にメイン菓子として販売されていた薔薇。白あんに小麦粉などを混ぜて蒸した、「こなし」の生地の花の中に黄身餡が包まれています。
「アイボリーから薄紅色へと移り変わる花びら、さりげなく添えられた金箔…。繊細な細工に感激しました。
中の黄身餡は、まろやかでコクのある味わいで、こなし生地の優しい甘さと調和しています。華のある美しさに加えて、上品な美味しさに、改めて塩野さんの魅力を感じました」
1位 真夏の薬草を繊細に表現した「はんげしょうの宝珠」
1位は、花の蕾のように繊細な「はんげしょうの宝珠」。
杉山早陽子(さよこ)さんが「記憶に残る一瞬」を込めて手作りするお菓子のお店「御菓子丸」の一品です。
半夏生とは、夏至から11日目の7月2日頃から、七夕までの5日間。1年のうちで昼間の時間が最も長くなる期間です。「半夏」という薬草が生える時期でもあり、葉が半分ほど白くなり、化粧しているように見える頃とも言われます。
こちらのはんげしょうの宝珠のお菓子は、薄い琥珀糖で一粒のピスタチオをくるみ、半夏生を表したもの。
「本来は京都の寺院・両足院まで参拝に行かないと買えないお菓子ですが、このときはオンラインお授け所にて求めることができました。
口の中でシャリッと儚げに崩れる琥珀糖と、ピスタチオの香ばしくまろやかなナッツの風味が絶妙に組み合わさり、大変美味しい一品。アクセス数も最も多かったお菓子で、繊細な美しさとお味が今も心に残っています」