注意:印鑑は基本的に不要に、必要なケースとは?
2022年の確定申告から印鑑不要に(画像素材:PIXTA)
これまでは確定申告の際に用意する書類には申告者の押印が必要でしたが、令和3年度税制改正により、2022年の確定申告から基本的に印鑑は不要となりました。
納税証明書の交付請求などを代理人が行う際の委任状に関しても同様です。
ただし、納税の振替依頼書やダイレクト納付利用届出書に関しては、金融機関で使用している届出印(銀行印)が引き続き必要なので注意しましょう。
出典:国税庁「税務署窓口における押印の取扱いについて」
個人事業主の確定申告に必要な書類
個人事業主の確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。ここからは、確定申告で必要な書類について、青色申告と白色申告に分けて解説します。
青色申告の場合
まずは青色申告。個人事業主が確定申告をする際、青色申告と白色申告から選ぶことができますが、より節税に効果的だとされているのが青色申告です。
青色申告をするためには、開業届とともにあらかじめ税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を出しておく必要があります。手続き方法や申告者の状況によって異なりますが、最大65万円の所得控除(青色申告特別控除)を受けられるのが大きな特徴です。
青色申告をする個人事業主は、確定申告書Bとともに「青色申告決算書」の作成・提出が求められます。
「青色申告決算書」は損益計算書、およびその内訳表、貸借対照表から構成されます。内訳表では仕入れから給料賃金、貸倒引当金繰入額、減価償却費など細目の記入も求められるため、毎日・毎月の収支をきちんと帳簿に記録しておかなければなりません。
また、前述した青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による帳簿作成が義務付けられています。
白色申告の場合
続いては白色申告。青色申告のような特別控除が受けられないなどのデメリットがあるものの、手続きや記帳が比較的簡単に済ませられるのが特徴です。
青色申告では「青色申告決算書」が必要であったのに対し、白色申告は「収支内訳書」の作成・提出が求められます。
「収支内訳書」は青色申告ほど細かくはないものの、収入や経費の額、売上先や仕入先別の内訳などを記入する欄があります。また2014年以降は、簡易的ではあるものの帳簿への記録も義務付けられています。
会社員の確定申告に必要な書類
会社員は、雇用主である会社が源泉徴収による税金の天引きと年末調整をしているため、基本的に確定申告は必要ありません。
ただし、住宅ローン控除や医療費控除、ふるさと納税の控除など、ケースによっては確定申告したほうが節税になることがあります。
住宅ローン控除を受ける場合
住宅ローン控除とは、住宅ローンの残高に応じて還付が受けられる制度です。
会社員の場合は、基本的に会社の年末調整でまとめて申告が行われます。しかし、初年度の住宅ローン控除のみ、年末調整では手続きができないため確定申告をする必要があるのです。
申告の際には、住宅借入金等特別控除額の計算明細書や借入金の年末残高証明書、マイナンバーが記されている書類、土地・建物の登記事項証明書、不動産売買契約書(請負契約書)、特例要件(耐震改修や認定長期優良住宅など)を証明するための書類の写しなどの提出が求められます。
医療費控除を受ける場合
医療費控除もまた、会社員であっても確定申告が必要な場合があります。医療費が10万円を超えた場合に対象となります。また、年間所得が200万円未満の場合は、所得の5%が控除対象です。
医療費控除に際しては、明細書の作成・提出が必要です。また、2017年分の確定申告から領収書の提出は不要となりました。
ふるさと納税をした場合
ふるさと納税とは、納税者が自分で選んだ自治体に寄附をすることができる制度。ふるさと納税を行うと、寄附金控除という税額控除を受けられるとともに、自治体からは返礼品を受け取れます。
申請の際は「寄附金の受領証(領収書)」、または特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」が必要となります。
近年では1年間の寄付先が5自治体以内の場合など、条件によっては確定申告の必要のない「ワンストップ特例制度」が登場。より手軽にふるさと納税ができるようになりました。