今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
岩と波としぶきと
今週のかに座は、生と死の深いコントラストを内に含んでいこうとするような星回り。
『岩群の生きて波挙ぐ五月かな』(成田千空)という句のごとし。「岩群の生きて波挙ぐ」とは、深浦の奇岩として有名な一連の岩群のことで、ただの岩にも生命力がみなぎっているかのように感じられる季節であることを力強く詠いあげているわけです。
おそらく、そこには一斉に熱気を放ち始める大自然とは裏腹に、文明社会で弱り細って死に近づいていく人間たちの姿が念頭にあったのではないでしょうか。
あなたもまた、どこかで自分が生まれ変わったような新鮮さを実感していくことができるはず。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
植物は自分なんかよりずっと賢い
今週のしし座は、「定住民」として進化していこうとするような星回り。
何よりも重大な捕食者や通行者など外からの攻撃に受動的であらざるを得ないという問題に対して、植物たちは自分のからだを分割可能なパーツを組み合わせたモジュール構造にしていくことで解決してきました。
葉だけでなくどの部分でも光合成できるなどして、からだの大部分が失われても再生できるように、リスクを分散。それどころか、この植物に特有の生理では、適切な剪定がもたらす回復効果のように、からだが失われた方がいい場合もあるのです。
あなたもまた、植物が進化の過程でそうしてきたように、分割不可能と思いがちな自分自身の価値をいかに分割していけるか、ということがテーマとなっていきそうです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
真剣なASOBI
今週のおとめ座は、言葉で処理する代わりに、言葉そのものを泳がせていこうとするような星回り。
『水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首』(阿波野青畝)という句のごとし。
ある日ある時「水ゆれて」、そちらに目を向けると「蛇の首」が見えている。作者がその刹那のはざまに「鳳凰堂へ」という言葉を添えた瞬間から、この蛇は読者の心象風景の中で永遠に泳ぎ続ける”言霊の蛇”となったのかも知れません。
あなたもまた、月並みな言葉遣いで感動の芽を摘んでしまうのではなく、すこしでも心が動くような仕方で言葉を紡いでみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
渇きを満たす
今週のてんびん座は、洗練された生の充実の時へと誘われていくような星回り。
プルーストの描いた、朝早いパリの街頭のごとし。
すぐれた映画や小説というものは、たいていの場合、印象的な食事シーンや食に関する詳細な記述を含んでいるものですが、それはフランス文学最高の小説『失われた時を求めて』にも言えていて、例えば作者主人公マルセルの恋人アルベルチーヌに、パリの街頭に聞こえる物売りに対して嘆声を挙げさせるのです。
あなたもまた、そんなマルセルとアルベルチーヌの2人のように、縦横無尽な仕方で他ならぬ自分自身をとことん楽しませていくべし。