今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
深い水の流れを聞く
今週のさそり座は、一見すると何もない場所にこそ注意を向けていくような星回り。
『紫陽花に吾が下り立てば部屋は空ら』(波多野爽波)という句のごとし。なんとなく死者の香りがする一句ではありますが、それは鬱々とした季節を静かに彩る紫陽花という花のいささか妖しい存在感のせいでもあるのかも知れません。
明るい日差しのもとで咲き乱れる花そのものよりも、花を育てた季節の質感がより濃厚に宿る空間の方にこそリアリティを感じているのでしょう。
あなたもまた、目に見えて分かりやすい美しさよりも、その目に見えない実体や源の方にこそ強く惹かれていくはずです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
もののはずみ
今週のいて座は、遠くの誰かに対し、ほとばしる自身の思いを伝えていこうとするような星回り。
先日たまたまYoutubeのオススメ欄に表示された動画を開いたら、どこかアフリカあたりの国らしい景色を背景に、筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の上半身裸の男たちと「人生山あり谷ありモハメドアリ」という日本語で書かれたメッセージ・ボードが映った。
これは「世界からのサプライズ動画」といったサービスですが、特定の誰かの利潤を超えたメッセージが届けられたという事実には、それに触れたものの心をほのかに明るくする何かが含まれているような気がします。
あなたもまた、そんな善意といたずらとが相半ばするくらいのもののはずみにみずからを投じていくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「わたし」の喪失と再発見
今週のやぎ座は、自身を空っぽの器にしていこうとするような星回り。
『病み呆けて泣けば卯の花腐しかな』(石橋秀野)という句のごとし。ふと病人は、来し方のことどもを思い、また行く末を思い、自分の死や、残された夫やまだ幼い娘のことを思って、いつの間にか涙が溢れていたのでしょう。
一体いつまでも降り続くのかと呆れるほどの雨に、自身の身に起きていることを重ねたのです。そしておそらく、自分自身を出し切った仕事ができるかどうかこそが、俳人として自身の腕を昇華させていけるかを大きく左右していくはず。
あなたもまた、いっそどこかで思いをいったん出し切るくらいのつもりで過ごしていくといいでしょう。