コロナ禍以降テレワークなども増え、ONとOFFの切り替えが難しく、なかなか上手にリフレッシュできないという人も多いのでは? その理由は、ブレイクタイムの過ごし方にあり! 休憩時間を賢く使い、仕事中の疲れを効率的に癒すためのアイデアをご紹介します。
こまめな休憩が効率も癒し度もUP!
仕事のパフォーマンスを上げるために絶対に必要なのが休憩。
「その取り方次第で、癒しの効果を上げることができる」と順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生。
「休息は、働き終わった後に取るものというイメージが強いですが、癒しにフォーカスすると、1時間にブロック分けし、45分仕事+15分休憩とこまめに休憩を挟むのがおすすめです。というのも、癒しはONとOFFの切り替えがハッキリあるほど、より感じられるものなのです。また、人は集中して取り組み、充実感や達成感を味わうことができると、呼吸が深くゆったりし、自律神経も整っていきます。しかし、人間の集中力はそう長く続きません。達成感を味わうためにも、ダラダラ無為に続けず、仕事をする集中モードは45分を目安に区切りましょう」
集中モードを45分に設定すると、仕事に無駄がなくなり、サクサク進みパフォーマンスが上がるはず。
「仕事がトレーニングのような感覚になり、血流も改善されていきます。特に、終わりの時間を意識することで残り10分頃から、集中力がさらに高まり、勢いがついてくると思います。ここで大事なのが、そのまま続けないこと! 心身が疲労困憊する前に、15分のブレイクタイムを取れば、次の45分の仕事タイムでも再び集中しやすくなりますが、無理に続けてしまうと集中力を欠き、仕事はどんどん雑になってしまいます」
お昼休みは、15分のブレイクタイム以上に、ONとOFFの切り替えをしやすい大切な時間。
「長めに取れるお昼休みは、仕事のための準備時間と考えず、お花屋さんに行って花を見たり、書店を覗いたり、物理的に仕事場から離れ、自分の好きなことをするために充てるといいですね」
ここでは、15分あれば簡単にできる癒しの方法をピックアップ。詳しく紹介していきます。
もっと癒しを得るための15分のアイデアTIPS
休憩中はできるだけスマホは遠くに置く。
つい、小休憩ごとにSNSチェックや、ネットサーフィンをしたりしがち。スマホ依存がひどくなると、トイレに行く時も手放せなくなる。「スマホから得られる情報には“負の刺激”が少なくないため、脳が休まりません。デジタルを使うONの45分とOFFの15分を上手に切り替えるには、デジタルの世界から離れるのが近道です」
呼吸を意識して、深くため息をついてみる。
無意識に行っている呼吸を意識してやることで、ブレイクタイム明けの仕事に入りやすくなる。「吸う時の倍の時間をかけて吐くと、自律神経が整うという研究データが出ています」。“幸せが逃げる”といわれるため息も、意識的に行えば心身にいい効果が。「酸素をたくさん体内に取り込めて血流が良くなり、リラックスもできます」
「あいうえお」体操で表情筋を動かす。
マスク生活が長くなるにつれ、表情筋を使う機会が激減。「“あいうえお”に合わせて、口だけではなく目や眉毛、頬、おでこも上下左右に思い切り動かしてみてください。こわばった表情筋が緩んでいくのが感じられ、頭もスッキリして、癒しも感じられると思います。口を閉じたまま、舌で歯茎をぐるぐるなぞる運動もいいですね」
チューインガムで唾液量を増やす。
心身の健康に大きく関わる唾液の分泌。「唾液の分泌は自律神経によって調整されており、量が増えると自律神経が安定し、気持ちも自然と和らぎます。さらに消化・吸収も良くなるなど、いいことずくめ。しかし現代人は、唾液の量が鎌倉時代の3分の1にまで減っているため、ガムを噛むことにより意識的に量を増やすのが◎」
階段の上り下りやスクワットで体を動かす。
仕事タイムはデスクの前で座りっぱなしで、体がなまってしまう。「活動があるからこそ感じられるのが癒し。オフィスの階段を上り下りしたり、テレワークなら、スクワットを10回ほど行ったり、15分のブレイクタイムのひとつに、体を動かす時間を組み込みましょう。PC作業で凝った肩や首のストレッチもおすすめです」
退社前には今日の「良かった点」を紙に書き出す。
一日の最後の15分は、1秒でも早く帰りたい気持ちを抑え、今日の振り返りに充てて。「癒しはONとOFFの切り替えがカギ。今日あったいいことや反省点、明日のやるべきことを書き出して『これで終わり』と区切ることで、公私のメリハリがつき、帰宅後のリラックスタイムを心軽く過ごせます。翌日、仕事の開始もスムーズです」
小林弘幸先生 順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。国内で初の便秘外来を開設。自律神経研究の第一人者としても知られる。『美人になる自律神経レッスン』(PHP研究所)ほか著書多数。