ヨガの経典と言われるテキスト「ヨガスートラ」の中には色々なヨガ哲学の考え方が記されています。「哲学はちょっと…」と苦手意識を持たず、レッスンを楽しむようにヨガ哲学も楽しみながら学んでみませんか?構えずに気楽に接してみると、思ったよりすんなりと頭に入ってくるかもしれません。今回は断捨離にもつながる考え方「足るを知る」に目を向けてみましょう。
須藤玲子
足るを知るとは
ヨガの経典「ヨガスートラ」の中に「サントーシャ」という考え方が記されています。「サントーシャ」とは、日本語で「知足」を意味します。つまり「足るを知る」ということ。
私たちが生きる社会は多くの物や情報にあふれ、24時間いつでも欲しいものが手に入る便利な社会と言えます。その一方で、自分にとって本当に必要なものが何なのか、適切に選ぶ知恵も必要とされています。「足るを知る」とは、「今の自分にあるもの、持っているもので十分足りているということを知る。必要以上に欲しがったり求めたりしない」という考え方です。
欲しいと思うのは悪いこと?
ネットやメディアでは常に新しい情報がアップデートされ、「あの服が欲しい!」「もっとお金あれば…」「もっと広い家に住めたら○○できるのに!」など、欲望を刺激されることも多いでしょう。何かを求めるのはごく自然なことで「欲=悪」ではありません。大切なのは本当に必要なものを得るということ。
何かを欲しいと思った時は、少し立ち止まってみましょう。今の自分が持っているものを冷静に見てみると、実は今のままでも十分だと気付くことがあるかもしれません。欲しいと思う気持ちに罪悪感を持つことはありませんが、ないものねだりをする前に今の自分に目を向けることが大切だと解釈しましょう。
今あるものを生かそう
ヨガをする上で大切なのは周りと比べることなく、今の自分に目を向けること。今の自分にあるもの(形のないものも含めて)を見てみましょう。持っているものを最大限に生かしていますか?手に入らないものを欲しがる前に、あるものをありがたく活用しましょう!その中できることを精いっぱいやってみませんか?
なりたい自分や目標を持つのは前向きに生きるため大切なことですが、手に入らないものに執着することが、自分を追い詰める場合もあるのです。ありのままの自分を大切にするというヨガの教えを思い出しましょう。
シンプルに生きよう
必要以上のものを持たないミニマムな生き方は、余分な執着からも解放され、部屋だけでなく心にも余裕を生み出します。それは物だけでなく人や環境、状態、思考についても同様です。適切な助言やサポートしてくれる家族や友人がいること、健康な身体を持っていること、人付き合いや、ヨガで学んだ考え方など、新しいことを求めなくても十分恵まれていてありがたいと感じるはず。必要なものだけでシンプルに生きることは、常に断捨離ができている状態と一緒。部屋の大掃除をした時のスッキリした感覚を思い出してみましょう。
今の自分にあるものを大切にしてシンプルな暮らしをしませんか? 心にできたスペースが新たな気づきを引き寄せてくれるかもしれません。