2022年7月、金沢市街から車で約15分の場所に石川県立図書館が開館しました。以前は、金沢21世紀美術館の近くにありましたが、老朽化に伴い移転。新しく生まれ変わった図書館は規模や機能もパワーアップして、館内も洗練されたデザインに。地元民だけでなく、観光に訪れた人も楽しむことができる新しい石川県立図書館の魅力をご紹介します。
吹き抜けの天井を中心に曲線を描く円形劇場のような美しい本棚
メインの閲覧エリアに足を踏み入れると、目の前には無数の本棚。その壮観さに、圧倒されます。吹き抜けの天井を中心に、1階から最上階の4階まで、本棚が曲線を描きながら幾重にも連なり、まるで本に囲まれているような感覚に。好奇心が湧き上がると同時に、木を基調とした内装に温もりも感じられる空間になっています。
本棚は木の年輪が重なるようなイメージで最上階から1階へと、曲線を描いて連なっています。その様を遠くから眺めると、円形劇場のような美しさ。本棚から本棚へ、階段を上ったり、スロープで移動したりと、興味のおもむくままにお気に入りの一冊を探して巡ることができます。
円形閲覧空間の本棚は本と出合う12のテーマ別に整理されていて、「世界に飛び出す」「暮らしを広げる」などユニークなテーマの数々が興味深く、思いがけない1冊や、新しい世界に出合えるかもしれません。
新しくなった石川県立図書館は、「百万石ビブリオバウム」という愛称でも知られています。「百万石」は「加賀百万石」に由来し、建物の規模や収蔵能力の多さを表しています。「ビブリオ」は図書、バウムは「木」の意味。木の年輪のように、県民と共に成長する図書館でありたい、という思いも込められています。
おしゃべりOK？！な図書館は館内のいたるところに工夫が！
実はこの図書館、閲覧エリアでのおしゃべりがOKなんだそう。友だちとあれこれ本を探したり、写真を撮ったりすることも可能です。もちろん、会話も物音も常識の範囲内で、とのこと。静かな環境で読書に集中したい人には、予約制のサイレントルームが用意されています。
図書館を一望したい時にオススメの場所が、閲覧エリアを中央で結ぶ3階のブリッジです。閲覧エリアを360度見渡すことができ、改めて規模の大きさを実感します。ブリッジの通路にはソファが設置されていて、開放的な空間で休憩したり、読書しながら過ごすことができます。
4階は、リングと呼ばれる1周約160メートルの回廊式の閲覧空間です。貴重な歴史資料や、文芸界を彩った過去の文豪や作家たちの名作なども置かれています。しかも、随所で本の歴史や世界観を紹介するミニコーナーが設置され、興味がどんどん湧いてきます。気になる本があったら、ところどころに設置されているソファ席でページをめくってみてください。
館内にはこのほか、おしゃれなソファや椅子がいたるところに設置されています。デスクタイプの席から、中にはカフェで見かけるようなハンギングタイプの椅子、現代アートのような個性的なデザインの椅子、そして九谷焼の絵付けに用いられる加賀五彩を背もたれに用いた椅子まで多彩です。お気に入りの椅子を見つけてみるのも楽しいですね。
人気カフェの香り高いコーヒーでほっとひと息
「図書館ブレンドコーヒー」380円と「ニューヨークチーズケーキ」500円
図書館1階の南側には、SNS映えするドリンクやスイーツが話題の県内の人気カフェ「ハムアンドゴー」が併設されています。石川県立図書館カフェ限定のドリンクが「図書館ブレンドコーヒー」。温かい時はチョコレート、冷めてくると爽やかな甘いフルーツのような印象の上品なテイストです。濃厚な味わいのニューヨークチーズケーキなど、手作りスイーツと一緒に、読書の合間にカフェでほっとひと息付けるのもうれしいですね。
図書館利用以外の楽しみもたくさん！
閲覧席の一角には、石川県の伝統的工芸品でもある加賀水引や輪島塗、加賀繍の作品が展示されています。工芸と本。洗練された2つの世界が融合し、図書館でもあり美術館のようでもある、粋な空間を造り上げています。
館内には、大学の講義室のような階段状のスペース「だんだん広場」やオープンキッチンを備えた「食文化体験スペース」など、さまざまな交流スペースを備えています。伝統文化や里山里海の生物多様性を紹介する「里の恵み・文化の香り～石川コレクション～」も必見です。
新しく生まれ変わった石川県立図書館は、読書を楽しむのはもちろん、石川の伝統文化や食文化にもふれることができるスポット。四方を本に囲まれた円形劇場型の空間設計など、図書館の建物自体が見ごたえのあるスポットなので、是非訪れてみてくださいね。
