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無理にリラックスしようとしない。高橋一生の「疲れた心の整え方」

エンタメ

こたつに入って、みかんを頬張って、推しのドラマを観る。冬のおうち時間って、ほんと最高ですよね。もちろん、それだけでも至福のひとときですが、せっかくだったら愛しの冬ごもりをアップデートしてみませんか? 最新の巣ごもりグッズからおうちステイを有意義にしてくれるサービスや時間の使い方まで、編集部が"冬ごもり"のトレンドを徹底リサーチ。わたしだけの「とっておきの、冬ごもり」を見つけてみましょう。今回は、おうち時間にぴったりのAmazonオーディブルで「騎士団殺し」の朗読を務めた高橋一生さんにインタビューしました。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:大嶋千尋
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部

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暑い夏と同じくらい、私のやる気を奪っていく寒い冬。平日も休日も、なるべく外に出たくない。そんな自分を甘やかしたい気もするけど、家の中でダラダラしてるだけなのも、なんだかサボっているような気持ちになってモヤモヤしちゃう。

バイタリティあふれるすてきな人は、どんなふうに冬場のオンオフを切り替えているんだろう。そんなことを悩んでいる時に耳にした、高橋さんが読み手を務めるAmazon オーディブルの『騎士団長殺し』。高橋さんの落ち着いた声を聞いていると、ささくれだった心もなんだか解けていく。

読書家で、それでいて忙しく活動されている高橋さんは、おうちでの時間をどんなふうに過ごしているのだろう。おうち時間の過ごし方を聞いてみたら、私たちがなんだかいつも疲れちゃう理由や、心の疲労を癒やすために朗読を聞くことが有効な理由も分かってきた。

衣擦れにすら気を配りながら、深く落ち着いた声が録音されていく

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――高橋さんは、村上春樹さんの『騎士団長殺し』がもともとお好きだったとお伺いしました。今回、どんな思いで音声化に取り組まれましたか?

村上春樹さんの作品は、僕にとって非常に慣れ親しんだものなのですが、中でも騎士団長殺しは特に思い入れの深い作品でした。なのでお声がけいただいた時は、とてもうれしかったです。村上さんの作品においては、失ったものが戻ってこないことが多い。ですが『騎士団長殺し』では、とても自然な形で失ったものが戻ってくる。そのエンディングがとてもすてきで、お気に入りの作品です。

――朗読をされる時に、気をつけていることなどはありますか?

身体を動かさないこと、でしょうか。音声を録る時は、服の衣擦れの音ですらノイズとして拾ってしまうんです。そう思うと、いつも自分が思っている以上に動いていることにも気づくのですが……静的になることは、お芝居の時とは逆の行動なので、意識しています。

――そういった努力のもと、高橋さんの深く落ち着いた声が録音されているんですね。

僕は舞台に立つ時にも喉を枯らしたことがないので、強靭な喉のおかげという部分もあります。ちなみに僕の声は聞いていると眠くなると言われたことがあるので……、お仕事前に聞かれる時は注意が必要かもしれません。

ですが、ずっと音楽を聞くかのように朗読が聞けたらいいのにと思っていたので、ぜひ気軽に楽しんでもらえたらと思います。長距離移動の時や、仕事終わりの通勤電車など。朗読は自分で読むという労力を使わずに、自動的に耳に文章を届けてくれるものです。ちょっとストレスが溜まったなあという時ほど、楽しんでもらえるのではないかと思います。

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――高橋さん自身、音声コンテンツを楽しまれることもあるのでしょうか?

はい、僕は読書が好きですが、自分の読書体験とはまた違う体験ができるのがいいなと思いました。自分で読む時は、1行1行を噛み締めて読む感覚なんですが、音声だと半自動的に、読み手のリズムに矯正されるんです。頭を支配されるというか……それが逆に心地いい方も、いるんじゃないかと思います。

家でもリラックスしようと思い過ぎず、自然な体調を受け入れるのがラク

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――音声を聞かれる時は、おうちが多いですか?

移動の時もありますが、家で聞く時もあります。風の流れを感じるのが好きなので、家にいてもたいてい窓を開け放して聞いています。外とつながっていたいという感覚があるので、冬場の寒い日でも開けてしまうんです。

――高橋さんはおうちではどんなふうに過ごされることが多いですか?

飲み物を飲んでいるか、本を読んでいるか、動いているか……僕は、常に二宮金次郎スタイル。何かしながら本を読んだり、映画を見たり。そっちの方が、情報が頭に入りやすいんです。いつもそんな感じなので、友人が家に来る時などは、じっとしてろって怒られます。

――すごく意外です。それに、音声を録る時の静的な高橋さんとはかなりギャップがありますね。かなりしっかりとオンオフを切り替えられているのでしょうか?

全く意識したことがないんです。意識的にリラックスするということがないのは、外にいてもリラックスしているからだと思います。特に、お芝居の仕事をする時が一番リラックスしているかもしれません。僕にとってリラックスしている瞬間は、適度な集中と手放し感を、どちらも感じる時なんです。リラックスに振りすぎても、頭に情報が残ってしまっていて、あまり落ち着けないんです。

――ちょっと分かるかもしれません。気楽で暇すぎると、それはそれで余計なことを考えちゃうような。

僕は、本当に心を空っぽにしたい時は窓を開けて瞑想のようなことをします。適度な風が流れている場所で、ゆっくり呼吸をするんです。

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――高橋さんのように忙しい毎日を過ごされていると、「リラックスした方がいいな」と思う瞬間もあるのではないでしょうか?

した方がいいなと思うというか、休む時は反射的な感じです。休まなきゃと思っているうちは脳みそが動いているわけですから、逆に動けるなと考えます。本当にリラックスを求めている時は、心が落ち着く空間に踏み入った時に、スッと休むことができるんです。

だからこそ僕は「ストレスが溜まっているかな?」と感じた時ほど、いろんな場所に行ってみることにしています。そこですぐ帰ろうと思う時は、まだ働ける時。長くそこにいたいと思う時は「あぁ、一生ちょっとくたびれてるのね」と、そういう自分を受け入れます。

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――すごくいいですね。常に自然体な自分を受け入れているから、息がつまりすぎないのかもしれないですね。

そういうことで小回復もできているのかもしれません。案外だらけすぎた姿勢よりも、ちゃんとした姿勢を楽に取れている時の方が自分の中ではしっくりきます。

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