今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
年齢夢想
今週のかに座は、自分の気がすむまでとことんぐずぐずしていこうとするような星回り。
『朧夜の四十というはさびしかり』(黒田杏子)という句のごとし。年長者特有のドライな諦念にも徹しきれず、かと言ってもう若いふりをするのも限界がある。そんな宙ぶらりんな年代ゆえの感傷は、やがて霧が晴れるかのようになくなっていくのかも知れない。
しかしだからこそ、どうにも身を固めきれなかったり、スパっと割り切れないでいる今の自分を大切にしよう。
あなたもまた、つかのまの朧夜のごとき優柔さを自身に許していきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「一」を育てる
今週のしし座は、些細なものの中にこそ大いなる虚構を感じとっていこうとするような星回り。
今話題のchatGPTというのは、問われた事柄に関するネット上の既知の諸要素から、部品を組み立て直すようにして、それらしい一続きのテキストを生成するものであり、いわば機械論的な「多の一」の思想の結晶と言うことができます。
しかし、これだと新しいものは生み出されてきません。だから、chatGPTが流行れば流行るほど、さまざまな情報の大元には一つのトータルな、さまざまな矛盾や対立をはらんだ全体がないといけないという「一の多」みたいな逆転の発想が必要になってくるはず。
あなたもまた、そうした現実世界を超える発想を、自分なりに見つけ出していきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ある蛇の飢餓感
今週のおとめ座は、今までになかったような感情に突き動かされていくような星回り。
『春の蛇座敷のなかはわらひあふ』(飯島晴子)という句のごとし。別段、仲間外れにされた訳でもなければ、自分からそうと覚悟して飛び出してきた訳でもない。ただ、気付いたら世間からずいぶん遠く離れたところに来てしまったという、孤独の味わいがここでは詠まれている。
当然、この蛇には作者自身が重ねられているのでしょう。そして、蛇はこのとき自身の孤独を発見しただけでなく、飢餓感にも通じる他者を強く求める気持ちにも気付いてしまったのではないでしょうか。
あなたもまた、できるだけ深いところから湧き上がってきた感情にのっとって、誰か何かと関わっていきたいところです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
からだごとぶつかっていくべきもの
今週のてんびん座は、やたらと並べられる横文字をあらためて疑っていこうとするような星回り。
2021年に日本で新たに設置されたデジタル庁は、内閣府より上位に位置する省庁であり、巨額の予算がつき、民間企業との人材の出入りも自由。ジャーナリストの堤未果の『デジタル・ファシズム』によれば、それは「今世紀最大級の巨大な権力と利権の館」だとしています。
さらに堤は、「一つはっきりしていることは、私たちが今この改革を、よく理解しないままに急かされている」こと、そして「わかりやすい暴力を使われるより、便利な暮らしと引きかえに、いつの間にか選択肢を狭められてゆく方が、ずっとずっと恐ろしい」のだと警告しているのです。
あなたもまた、自分や周囲の人たちの目を眩ませる魔法をどれだけ解いていけるかということがテーマになっていきそうです。