保護猫の家族探しを応援するサイト「neco-note(ネコノート)」が注目を集めています。お気に入りの猫のライブを視聴したり、課金しておやつをあげたりする「推し活」を通して猫助けにつなげようという「推し猫ファンクラブ」。一体、どんな仕組みなのでしょうか。
殺処分を避けるため、民間の保護団体が行政から猫を引き取ったり直接保護したりして、譲渡会などを通して里親を探しています。「neco-note(ネコノート)」はこうした保護団体と連携して保護猫の情報を発信し、収益を団体に寄付しています。
neco-noteのトップページから「推し猫」を選ぶことができる
出典:neco-note
「ひとりで苦労してきた子です」
「neco-note」のサイトを開くと、愛くるしい目がこちらを見つめています。全国各地の保護団体で保護されている猫たちです。
気になった猫の詳細を見ると、推定年齢や体重といった基本情報のほか、保護された経緯を知ることができます。
「家主さんご夫婦が病気を患い面倒を見れなくなりました」
「旦那さんからDVを受けている奥さんから、飼い猫も虐待されていると連絡がきて保護することになりました」
「長い間、外で暮らし、ひとりで苦労してきた子です」
悲しい過去だけでなく、無事に保護されてからの様子や性格についても書かれています。動画も投稿されており、譲渡会に出向かなければなかなか出会えない保護猫のリアルな様子を知ることができます。
出典:neco-note
猫を飼うことはできなくても、猫のためになにかしたい。neco-noteではそんな思いのある人が課金によって「推し」の猫を支援することができます。
月額980円の会費で「推し猫」の「バディ」になると、バディ限定のライブチャットが視聴可能に。さらにおやつ券に課金すると、推しがおやつをもらって喜ぶ姿をライブチャットを通して見ることができます。売上の一部(最大96%)が、その猫を保護している団体に寄付されます。
「飼育放棄されたり虐待を受けたりしていた子が、保護団体によって飼育され、人間の愛情を知り、新しい家族のもとに巣立っていく。保護猫それぞれのシンデレラストーリーを伝えたい」
シリアスな境遇を生き抜いた猫たちにスポットライトをあてる、株式会社neconote(ネコノテ)代表取締役の黛純太さんに、neco-noteについて詳しく聞きました。
黛純太さんが「バディ」になっている推し猫のショコラちゃん
Akiko Kobayashi / OTEMOTO
ーー黛さんはやはり、大の猫好きなんでしょうか。
こちらが僕の推し猫のショコラちゃんです。僕が貢いだおやつを食べている動画、どうですか? 麗しいでしょう。
僕は生まれたときからすでに実家で猫を飼っていて、猫と一緒に育ってきました。家族と同じように愛しい存在です。だからこそ、猫の尊厳が毀損されていると違和感を感じます。特に殺処分は飼育放棄など人為的な背景があるため、強い問題意識を持っていました。
ーー保護団体として活動するのではなく、保護団体を支援する企業という立ち位置なんですね。
保護団体の活動にはずっと関心があり、大学生のときには全国の団体を検索して片っ端からアポを取って話を聞きに行ったりボランティアをしたりしていました。海外視察にも行き、昨年までは保護猫シェルターに住み込んでいました。
複数の団体とともに活動をしていると、保護団体が共通して抱えている課題が見えてきました。情報発信とお金の両方が足りていないことです。どの団体も同じことで困っているので、第三者的な立場からビジネスの観点を入れ、これまでにない価値を提供しなければならないと感じました。
コロナ禍で保護猫の譲渡会ができなくなったときに、YouTubeやZoomを使ってオンラインで譲渡会を実施したことが、neconote創業のきっかけになりました。「保護猫団体の"猫の手"」として、団体の持続可能性と自立性をビジネスの力で高め、保護猫の命をつなぐことに貢献したいという思いを込めています。
黛純太(まゆずみ・じゅんた) / 株式会社neconote代表取締役
1994年生まれ。大学卒業後、インターネット広告会社、まちづくりのスタートアップに勤務。2021年10月、株式会社neconoteを創業。保護猫譲渡会の企画運営や企業のCSR/CSV支援などを手がける。2022年2月22日に猫の推し活サービス「neco-note」をリリース。neco-noteはInternet Media AWARDS 2023でU30's VIEWを受賞
Akiko Kobayashi / OTEMOTO