タンス預金のデメリット
では、タンス預金のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
盗難・災害のリスクがある
タンス預金には盗難のリスクがある
金融機関に預けておけば、盗難や災害リスクに備えることができます。
金融機関の建物は堅牢な造りになっており、特に金庫は厳重なセキュリティで管理されています。そのため、自宅に置いておくよりは安心です。自宅に多額の現金を置いておくと、空き巣などの盗難の被害にあう恐れがあるほか、火事や地震、水災などで消失・散逸してしまうリスクがあります。
最近では、2023年1月に東京都狛江市で住人が殺害され、時計などの高額な品物が盗まれるという事件がありました。俗にいう「ルフィ事件」です。犯人グループはこの事件以外にも、日本各地で同様の犯行を繰り返していたと見られており、主犯格がフィリピンから指示を出していた可能性があるなど、これまでにない形の強盗として恐れられています。
金融機関に預けておけば、このような被害にあう不安を和らげられるでしょう。
紛失するリスクがある
現金を家の中のいろいろな場所に分散して保管する場合、どこにどれだけの金額があるのかを把握しておかなければなりません。タンス預金に手をつけたなら、残額がどのくらいあるのかも知っておく必要があります。
しかし、どこに保管したのか忘れてしまったり、保管していたはずなのになくなっていたりなど、紛失のリスクもあります。保管場所ごと捨ててしまい、後から気付くということも考えられるでしょう。
特に高齢になり、認知症を発症すると、タンス預金の場所や金額を思い出せないという事態を招きかねません。
現金を分散して保管しておくなら、定期的に保管場所をチェックし、金額が合っているかなどを確認するようにしましょう。
相続税の申告漏れが起こることがある
タンス預金のデメリットで一番気をつけておきたいのが、相続時の申告漏れです。
人が亡くなって相続が発生した場合、相続人は被相続人から相続した財産の相続税評価額に応じた相続税を納めなければなりません。また、相続税の納付には期限が設けられており、「被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内」とされています。被相続人の財産には、当然タンス預金も含まれます。
近年、被相続人のタンス預金を把握できずにそのまま相続税を納付し、後で発覚して修正の申告を行わなければならなくなるというケースが多くみられます。その場合、「過少申告加算税」が加算されてしまうため注意が必要です。
被相続人が誰にも知らせず保管していた場合は、相続人がタンス預金の存在を知り得ることができないため、加算税は手痛い出費ですが、残った分は追加の収入となります。ですが、相続税を逃れる手段として利用していた、つまり虚偽の申告を行った場合は、不正な脱税目的の遺産隠しとして、相続税法違反で刑事罰を受けることもあります。
家庭にはそれぞれの事情があり、タンス預金をすべて明らかにしていないケースもあり得るでしょう。相続が発生した際に相続人に迷惑がかかることのないように、エンディングノートなどにその存在を記しておくなどの対策を取っておくことをおすすめします。
まとめ
現在の低金利下では金融機関に預けても資産が増えないばかりか、手数料で損をしてしまう可能性があります。そのため、預金にメリットを感じないという人もいるでしょう。ですが、あまりタンス預金で保管しておく金額が大きくなると、後々デメリットが生じる可能性もあります。
タンス預金をするにしても、あまり多額の現金は自宅に置かないほうがよいでしょう。