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妹のために口紅をつくった22歳の環境活動家が、「口紅なんて、なくたって生活できる」と言い切る理由

「確認できない」で終わらせたくない

「SHIINA organic」の口紅は全成分の72%を8種類の天然オイルが占めます。主な成分であるツバキオイルは、伊豆諸島の利島村で、地元の農家さんが手で一つずつ拾ってくれたヤブツバキの種をじっくりと搾油したものを使わせてもらっています。

Green School Bali在学中に何度も現場に足を運んだように、利島に行って生産工程を実際に見て、椿農家さんまでたどって原料の安全性を確認しています。ただ、「じゃあ他の成分はどうなっているの?」と消費者には疑問を持ってもらいたいんです。

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ツバキオイルの原料である、東京・利島産の椿の種
写真提供:露木しいなさん

口紅にはツバキオイル以外にも20種類ほどの成分がありますが、産地は南アフリカやメキシコなど世界中にあり、私の足だけではトレーサビリティを確認できないものもあります。「確認できませんでした」で終わらせたくなかったので、初回の生産ではエコサートを取得することにこだわりました。

パームオイルはRSPO認証(Roundtable on Sustainable Palm Oil)を受けたもの、そのほかも第三者機関によって認証が確認できた成分を使用し、自分では把握しきれないトレーサビリティを、第三者の力を借りて透明性を図れるようにしています。

認証を取ることがすべてだとは思っていませんし、「SHIINA organic」にもまだできていないことはたくさんあります。時間もコストもかかるので、一歩を踏み出してから一歩ずつ広げていけたらと思っています。

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口紅はアルミケースとリフィル(詰め替え用)に分かれており、好きな色のリフィルをケースに差し込んで使うスタイル
Akiko Kobayashi / OTEMOTO

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写真提供:SHIINA organic

多くの人を巻き込む理由

椿の種をひとつずつ拾っている農家さん、製造と認証の過程に携わるすべての人、ボランティアで手伝ってくれている SHIINA organicの「オフィシャルサポーター」のチーム......この口紅は、みんなの思いや物語がちょっとずつ集まってできています。誰が欠けてもできなかった、みんなの口紅です。

初回生産をクラウドファンディング限定で販売したのも、多くの人に少しずつ関わってもらうことが、社会問題の解決には大事だと考えたからです。

大手企業や力がある人、お金がある人だけで変えられる問題なら、とっくに解決しているはず。結局、企業がどんなに環境にやさしいプロダクトを提案しても、それぞれの消費者がちょっとずつ意識をもって行動していかない限り、変わらないし、意味がないのだと思います。

だからこそ、地味だし面倒くさいけれど、みんなにちょっとずつ関わってもらえるようにクラウドファンディングやボランティアで裾野を広げることを意識しています。

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COP(気候変動枠組条約締約国会議)に参加した露木さん(左から2人目)。中央はスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん
写真提供:露木しいなさん

まずは「問題に加担しない」

この口紅をつくることを通して社会課題を解決したいという思いが強くありますが、今はまだ解決というよりは、問題に加担しないということくらいしかできていません。

例えば、口紅のケースはリサイクルできるアルミ製で、購入いただいた方に配送するときの梱包はプラスチックゼロにこだわっています。でも、工場から私たちのところに製品が送られてくる際には、大量のプラスチック製の気泡緩衝材に包まれているんです。

どれだけ消費者にエコな口紅だとうたっていても、見えないところでプラスチックを使い捨てしていては意味がありません。どうにか捨てない方法や減らす方法はないものかと考え、次に納品してもらうときに再利用してもらえるよう、工場にお返しすることにしました。

テープを丁寧にはがしてすべての気泡緩衝材を重ねる作業に3時間ほどかかりました。それから段ボールに詰めて、1670円を払って工場に送り返しました。正直なところ、労力も時間もお金もかかります。

でも、小さいブランドだからこそできることもあるし、小さいブランドのときにやっていないことは大きくなっても絶対にやらないでしょう。だから今こうやって地道にやらなければならないのだと思っています。

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気候変動は待ってくれない

もともと環境活動家ですから、社会課題を解決できないものづくりには意味がないという思いが強くあります。どんなに時間がかかっても、お客さんがほしいときに買えない状態が続いたとしても、妥協はしたくありません。

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