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“セルフ・コンパッション”とは?|自分にやさしい自分になる①

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最後に「頑張ったね、大丈夫だよ」と、自分を褒めたのはいつだろう。傷ついたり疲れてしまった心は、きっとやさしさを欲しているはず。そんな自分に気がついて温かさを注いであげよう。思いやりで自分をいたわるご自愛の方法をひもとく。

教えてくれたのは…

関西学院大学文学部総合心理学科教授 有光興記先生

公認心理師、臨床心理士。恥やあがりの対処方法の研究過程でセルフ・コンパッションという概念に出合う。セルフ・コンパッションではやさしさや幸福感を高めていくことで、その人自らが問題の解決方法を見出すことを目的としている。

“セルフ・コンパッション”とは、自分へもやさしさを差し伸べること

もし大切な人が困っていたら、「助けてあげたい」と自然に思うでしょう。このようなふと湧き上がる温かい気持ちのことを、“コンパッション”といいます。日本語では「思いやり」や「慈しみ」などと表現される言葉。そして、この温かな思いやりの気持ちを自分自身へと向けることが、“セルフ・コンパッション”。

「コンパッションが高まると、落ち込みやストレスを受け流せるようになっていきます。そのために、まずは自分のいい面と悪い面をありのままに受け止めていきましょう」と、有光興記先生は解説(「」以下、有光先生)。

「心が傷つくと、自分を責めてしまったり、怒りのままに相手の悪いところを並べ立て、結果的に悲しみを上塗りするなど、ネガティブな感情がループしやすくなります。マイナスの感情は対処するより、自分にやさしい言葉をかけることで心を癒すことに注力したほうがいいのです。そうすると問題を遠ざけずに向き合いながらも、どう解決に導けばいいのか判断ができるようになっていきます」

辛いことがあってもその事実のみ受け止め、自分に思いやりの気持ちを向けることで苦しみを取り除くのが「セルフ・コンパッション」という心の持ちようであり、それはまさに“ご自愛”。

日常生活を穏やかに過ごすための手がかりは、自分の中の“やさしい自分”に出会うことから。自分に対するコンパッションを高めていこう。

illustration:Chiduko Hasino edit&text:Kaoru Bansho re-edit:Yuri Iwata[press lab]
※kiitos. vol.22(2021年12月23日発売)より抜粋。

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