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「ゴミ拾いをスポーツにする!」と言い続けてきたら、ついにワールドカップが開催される話

アニメで描いた世界の実現

そして2023年、ついに世界大会(ワールドカップ)まで開かれることになった。

2022年、ユニクロを展開するファーストリテイリングが実施した海洋ごみを減らす活動に貢献するキャンペーン「JOIN:THE POWER OF CLOTHING」での売り上げの一部を、スポGOMIの活動で使ってほしいという話になったのだ。

「以前、スポGOMIをテーマにアニメを作り動画配信したのです。このアニメで描いたのが、スポGOMIの世界大会。いつか本当にやりたい、と雑談レベルで話してきたのですが、本当に実現することになったのです」(日本財団海洋事業部の宇田川貴康さん)

話はあれよあれよと進み2023年3月、インドネシアでの初戦を皮切りに、21か国(日本含む)で予選を開催。各国の優勝チームは、11月に日本で行われる決勝大会に招待される。

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日本を含む21か国が参加するスポGOMIワールドカップ
出典:スポGOMIワールドカップ公式サイト

スポGOMIワールドカップ公式サイト

7か国の予選に足を運んだ宇田川さんは、遠くはブラジルで、日本人のゴミ拾いが受け入れられていたことが、特に印象に残っているという。

「ブラジルで聞いたラジオでスポGOMI大会のことが流れていたんです。昨年末にカタールでサッカーのワールドカップがあり、日本人サポーターのゴミ拾いが注目されていました。そのラジオでは、『ワールドカップでも日本人はゴミ拾いをしていて素晴らしい』『今日もスポーツゴミ拾いというエキサイティングな大会がある。さすが日本人だ』と報道してくれていました」

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スポGOMIワールドカップのタイ予選
写真提供:スポGOMI ワールドカップ 運営事務局

どの国も大会は盛り上がりを見せた。なかでも大会規模の大きかった国がタイ。各国のチームは大体30チームほどの参加だったが、タイの予選では地元企業のサポートもあり49チームが参加し優勝を競い、タレントやインフルエンサーなどのゲストチームも合わせると60チームも参加した。

「各国、参加された方は老若男女さまざまです。車いすで参加された方もいました。ゴミ拾いで世界一を決める大会があることが話題になって、参加してみようと思える人がさらに増えることが、ワールドカップの成功なのかなと思っています」

初戦が行われたインドネシアの優勝チームは、40代、50代のゴミ関連の仕事をしている女性3人組。一度も自国から出たことがない。優勝後のインタビューでは、「自分の住んでいる村をきれいにしていきたいし、決勝戦では優勝したい」と語っていたそう。すでにパスポートなども取得し、来日の準備は整っている。

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スポGOMIワールドカップには、車椅子でも参加できる
写真提供:スポGOMI ワールドカップ 運営事務局

馬見塚さんは感慨深げだ。

「ゴミがターゲットになる感覚や楽しくゴミを拾うようになることを理解してもらえないのがただ悔しくてやってきましたが、まさかワールドカップができるとは昨年まで思っていませんでした。21か国の参加してくれた方々が来年以降、僕らとどのように連携をとって現地に根づく仕組みを作っていけるか。大切な年になるなと感じています」

馬見塚さんはワールドカップの開催が決まる前の2020年、2030年に50か国でスポGOMIをしたいと思っていたそう。夢の実現に向け、挑戦は続いている。

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