スーパーでお買い得の野菜を買いだめしたものの、野菜室はパンパンに。おまけに使いきれないまま野菜がダメになってしまうことも……。じつは、野菜は上手に冷凍することによって長期保存することができます。また、調理の時短にもなって一石二鳥なんですよ。さっそくご紹介します。
教えてくれたのは……東京海洋大学 特任教授 鈴木徹先生
東京海洋大学 産学・地域連携推進機構特任教授。一般社団法人食品冷凍技術推進機 FFTech 代表。東京水産大学(現・東京海洋大学)食品工学専攻修士修了。冷凍食品研究開発および低温利用機器・システムの研究開発に従事。東京水産大学(現 ・東京海洋大学)水産学部助手を経て2004年から教授。2019年3月に同退職後、現職に至る。
38.7%の人が野菜は冷凍に向かないと回答。野菜は冷凍しない方がいい?
「ゆとりうむプロジェクト」が行った野菜の保存方法に関するアンケート調査では、全体のうち38.7%の方が「野菜は冷凍保存にとても向いていないと思う・向いていないと思う」と回答しました。
その理由としては「冷凍すると味が損なわれると思うため」が最も多く、その他に「野菜の適切な冷凍・解凍方法を知らないため」と理由があげられています。
野菜の冷凍保存はメリットがたくさん!
野菜は収穫後も「呼吸」して成長を続けています。成長は野菜の老化や、栄養の低下につながります。
野菜室よりも温度が低い冷凍室で保存することによって、野菜の呼吸や反応がほぼ止まるため、長期保存に有効です。また、栄養価の低下もゆるやかになります。
野菜を冷凍するときの3つのポイント
ポイント1. 1回の調理に必要な分だけ小分けにして保存
味噌汁の具にしたり、スープに入れたり、薬味にしたりと、野菜によって使い方もさまざまです。自分の使いやすい用途や量を考えて小分けして野菜を保存するとよいでしょう。
さらに解凍のときを考えて、団子状にしないで平板状に冷凍すると早く均一に解凍できます。
ポイント2. 下処理をしてから保存
野菜によってサッと火を通すもの、しっかりゆでるもの、生のままカット処理するもの、つぶしておくものなど、それぞれの野菜の特徴によって必要な下処理をしてから冷凍しましょう。
ポイント3. 包装方法の使い分け
長期間冷凍保存する場合は、小分けにした野菜をバリア性の高いサランラップなどで包んでから、ジッパー付きの保存袋に入れましょう。野菜の水分の蒸発や空気中の酸素による色の変化を防ぐことができます。
また、数日間で使い切る野菜や薬味など、頻繁に使う野菜はジッパー付きの保存袋に直接入れて保存すると便利です。用途に合わせ、食品の保存の仕方を変えながら日々の料理に役立てましょう。
冷凍保存術その1【キャベツ】
キャベツは丸ごと保存すると、冷蔵室(野菜室)でかさばってしまいます。すぐに使わない分は冷凍保存がおすすめです。
<保存1> 生のまま保存
料理に使うときは、電子レンジで軽く解凍して水けを絞ると、まるで「塩もみ」されたような状態に。コールスローやあえもの(塩昆布あえ、ごまあえ)など手軽に一品増やせます。
また、加熱して調理に使う場合は凍ったまま加熱してOK。水分が出ていく場合は加熱によって水分を飛ばしたり、加える水分量を少なめにするなど工夫して調理しましょう。
<保存2> ゆでてから保存
さらにコンパクトに冷凍保存するなら、ゆでてから保存するのがおすすめ。
使用するときは、凍ったまま汁物に入れたり、サッとゆでて水けを絞りあえ物や餃子の具にしたりするとおいしく食べられます。