今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
力の充満へ
今週のさそり座は、あえて過去を切断せずに、自分が感じているさまざまな情報のすり合わせに時間をかけていこうとするような星回り。
現代社会では何かしら自分たちの身に不幸に見舞われたり、つらい出来事が起きると、どこかで区切りをつけて「前向きに進んでいく」ことをよしとする傾向がありますが、哲学者の國分功一郎は『<責任>の生成―中動態と当事者研究』の中で、そこで無意識的に行われる「過去を自分から切り離そうとする」ことこそが、すなわち「意志」というものの本質に他ならないのだと述べています。
そして、國分は「意志という概念こそ『薬物的』なのではないか」と指摘してみせるのです。
あなたもまた、過剰な意志依存をいったん落ち着かせるべく、意志がもたらすある種のパターナリズムを解除して、かすかな違和感やまとまらなさに踏みとどまってみるべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
こんがらがった思考をほどく技術としての写生
今週のいて座は、変に凝り固まっていた思考がほどけていくような星回り。
『遊船の冬暖かきパリの旅』(コンラッド・メイリ)という句のごとし。
1943年の「新美術」という美術雑誌に掲載されていたという作者の文章で、そこには日本の若き芸術家へ向けて、日本ではスケッチをデッサンだと思われているが、絵画ではデッサン(素描)をしっかりやるべきだという旨が、俳句における写生の重要さに触れつつ述べられているのです。
あなたもまた、そうした感動と映像化をめぐる一連のプロセスをたどっていくことになるでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
失われたものを求めて
今週のやぎ座は、ここで抜け道や最短ルートを取るのではなく、あえて壮大な回り道をしていこうとするような星回り。
かつて「人間はいまや流行遅れになりはじめた」とうそぶいてみせた思想家エミール・シオランは、生誕こそが、死にまさる真の災厄だという古代人的な発想を通奏低音に一冊の本を書き上げ、それに直訳すれば「生まれたことの不都合について」という題をつけました。
彼が提示した人間の営為との向きあい方には、資本主義や民主主義のほころびが明らかになりつつある今こそ、ますますその重要度が増しているように思います。
あなたもまた、自身のものであれ社会全体のものであれ、負の遺産を負の遺産として受け止めつつ、「敗者」だからこそ見出すことのできた偶発的なものや無意味なもの、微細なものをひとつひとつ手に取ってみるといいでしょう。