今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
業をわが手に抱いて
今週のかに座は、みずからの業の深さを改めて思い知っていくような星回り。
「佛の教えは毛穴から」という言葉は、作家の車谷長吉が30歳の時に東京で身を持ち崩し、無一文で郷里へと逃げ帰った時、実際に母親に言われた一言なのだそうです。
言われた当時はピンとこなかったそうですが、その後9年間にわたり住所不定で関西各地のタコ部屋を転々とする日々を送るうち、少しだけ身に沁みてきたのだと。
あなたもまた、自分が日々何を毛穴から沁みさせているのか、改めて振り返ってみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
現実を超えてそこにあるもの
今週のしし座は、自身の生き様を積極的に虚構化していこうとするような星回り。
『寒鴉己(し)が影の上(へ)におりたちぬ』(芝不器男)という句のごとし。
いかに冬の微弱な太陽とはいえ、光あるところには必ず影が生まれるもの。その一瞬の出来事を見逃さなかった作者の眼には、どこか鬼気迫るものさえ感じます。
あなたもまた、自身の人生を賭けてメイクドラマしていく瞬間が訪れるはず。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
秘密と物語とその成熟
今週のおとめ座は、時間をさかのぼる旅をしていくような星回り。
臨床心理学者の河合隼雄は、70歳のある女性が「五十年前に人を傷つけるようなことをしたため、そのことを最近になって人から責められているような気がする」という訴えで来談した事例を取りあげ、秘密ということの大切さに触れていました。
医者の勧めもあって彼女ははじめて夫に秘密をうちあけると、夫は「聞いてくれただけでなく、夫の方の苦しみなども聞く機会になった。夫婦でいながら互いにやはり一人一人苦しみを背負った人間だと思った」という展開につながり、思いがけず治療は進んでいったのだとか。
あなたもまた、安易に言葉にして発散してしまう代わりに、身体がそれを受け止めきって“然るべきタイミング”を訴えてくるまで秘密にしていくという態度が求められていきそうです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
口から何かがほとばしる
今週のてんびん座は、矛盾する正反対の心理や傾向性が不思議と同居していくような星回り。
『暖炉ぬくし何を言ひだすかもしれぬ』(桂信子)という句のごとし。
外面的にはひどく静かであるにも関わらず、内面的にはいたって騒がしくもあり、また、ぬくぬくとバターのようにこわばりがとけていく心理と、ひやひやして肝が冷えていくような心理といった正反対のものが奇妙に混在し、それが場に漏れ出し、浸食していくさまを、掲句は鋭い観察眼で写生してみせてくれているのだとも言えます。
あなたもまた、卒のない言葉の応酬や予定調和的な会話の流れからはみ出していくような動きにみずから呼応しようとしていくところがあるでしょう。