生産者を置き去りにしない
希少性が高く、他にはない選りすぐりの商品を販売しているJMC。既存の店舗とは異なる運営スタイルは、裏を返すと、安定した供給での継続が難しいという一面もあります。
「実は、商品の大半はものづくりのリードタイム(納品までの所要時間)が長いもの。手間暇がかかるうえに、つくることができる人も少ないものですが、だからこそ残していかなければならないんです。
そこで、JMCがオリジナル商品を一定数発注するというリスクをとって、商品に適正な価格をつける。これによって、生産者への資金還元もできるのです」
神楽面作家の小林泰三さんとグラフィックアーティストの牧かほりさんのコラボレーションによる、島根県の伝統芸能「石見神楽」の能面をアレンジしたアート作品
提供:羽田未来総合研究所
こうした独自の取り組みをもとに、JMCが未来へ残したいと考えているのは、日本各地の優れた技術や素材、そして感性。その実現のために忘れてはならないのが、日本のものづくりの今後を担う、後継者の育成です。
「日本各地のものづくりの現場を訪ねると、伝統を受け継ぎながらも、若返りをはかろうと奮闘するメーカーや工場が数多くありました。そうした生産者に共通していたのは、トップの方が危機感をもっていたり、ブランディングという視点をものづくりに生かしていたことです。
私たちも、単に日本の伝統的なものづくりを紹介するだけでなく、そうした技術を現代的に昇華できることを発信していきたい。若い人たちにも『こういうものも世界に誇れる日本の文化や技術なんだ』と興味をもってもらう入り口をつくることが、後継者育成にもつながると考えているのです」