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あのキットカットが水引に?紙パッケージだからこそできる、「アップサイクル」の無限の可能性

ライフスタイル

日本の伝統工芸として知られ、祝儀袋や贈答品などでもおなじみの水引。本来は和紙などを使ってつくられますが、東京水引の「アップサイクル水引」には、使用後の紙資源や未利用の間伐材をアップサイクルした「TSUMUGI」の紙紐を使用。その素材の一部には、あの「キットカット」の紙パッケージも活用されています。

チョコレートにクッキー、ポテトチップスなど、プラスチックが使われていることが一般的だったお菓子のパッケージ。しかし、近年では紙素材のパッケージの採用も増えています。

そのひとつが、チョコレート菓子の「キットカット」。1935年にイギリスで誕生して以来、日本のみならず世界中で親しまれているお菓子です。

2019年、国内でキットカットを販売するネスレ日本は大袋タイプの外袋を紙パッケージへ変更することを発表し、現在ではほぼすべての「キットカット」大袋製品の外袋が紙パッケージに。

また、会社全体としては2025年までに、プラスチックパッケージの95%以上をリサイクル可能に設計すること、バージンプラスチック(リサイクルされていないプラスチック)の使用量を3分の1削減するというコミットメントを掲げています。

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提供:一般社団法人アップサイクル

2023年春には、業界の垣根をこえ各社が連携しリサイクル率向上を目指す、一般社団法人アップサイクルにも参画。使用後の紙資源や未利用の間伐材を紙糸にアップサイクルするプロジェクト「TSUMUGI」では、回収したキットカットやソリュブルコーヒー(インスタントコーヒー)の「ネスカフェ」の紙パッケージも活用されています。

水引が結んだ人と人

これまでに、TSUMUGIの紙糸を使用したオリジナルTシャツやトートバッグの作成・販売や、伝統工芸の加賀友禅とコラボレーションした「アップサイクル加賀友禅手ぬぐい」を発表。

2024年には創作水引ブランドの「東京水引」とコラボレーションし、TSUMUGIの紙紐を使用したアップサイクル水引で創作した、アクセサリー類の販売をスタートさせました。

祝儀袋や贈答品などでもおなじみの水引。細長く切った和紙をこより状にしてのりで固め、染料で染めたり金銀の薄紙を巻いてつくられ、日本の伝統工芸としても知られています。

東京水引では、水引が持つ伝統や気品を大切にしながらも新たな可能性を追究。ブローチやピアス、イヤーカフといった、現代的で親しみやすいアイテムに仕上げているのが特徴です。

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提供:東京水引

一般社団法人アップサイクルで事務局長を務めるネスレ日本の瀧井和篤さんは、そうした東京水引がもつ親しみやすさが、今回のコラボレーションのきっかけのひとつだったと話します。

「TSUMUGIのサステナブルな側面を強調するだけではなく、日常で身につけたくなるようなものにも活用できたらと考えていました。そのタイミングで、日本古来の伝統工芸である水引のアップデートに取り組む東京水引、紙資源のアップサイクルを目指すTSUMUGIの思いが重なったのです。

まさに、『人と人を結ぶ』という願いが込められた水引のように、両者が結ばれる取り組みとなっています」

アップサイクルならではの独自性

アップサイクル水引は当初、再生紙を使用しているため繊維が短く、破れてしまうなどの懸念もありました。厚みや幅などを調整して強度を保つことで、曲げたり結んだりする水引として成立するように工夫がなされています。

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左から 一般社団法人アップサイクル事務局長・ネスレ日本の瀧井和篤さん、東京水引デザイナー・水引作家の中村江美さん
提供:ネスレ日本

一方で、アップサイクル水引ならではのナチュラルで独特の風合いが魅力だと話すのは、東京水引でデザイナーを務める、水引作家の中村江美さんです。

「色合いがとても素敵だな、と思ったのがアップサイクル水引の第一印象です。そこで、白すぎず生成りのような色合いと優しい印象を、そのまま生かして作品に仕上げています。

また、一部の作品には印象的な赤の水引も組み合わせていて、これまではアップサイクルを意識していなかったという人に気づいてほしいという思いも込めているんです」

何度もしごくことで、綺麗なカーブを描くようになる水引。アップサイクル水引の場合も同様で、「やや細くやわらかいこと以外は、ほぼ従来の水引きと変わらない」と中村さん。

固定するため結んだ端の部分は樹脂で固めますが、水引自体に強度があるため、しっかりと結ぶとほどけてしまうことはないといいます。

紙だからこそできること

前述のように、素材として使われるTSUMUGIの紙紐には、使用後の紙資源としてキットカットやネスカフェのパッケージも使用されています。

ネスレ日本では各地のスーパーマーケットなどで回収を進め、3年ほどが経つ現在では回収ボックスを常設している店舗も。多い店舗では、1ヶ月で3000個ほどの使用済み紙パッケージが集まると瀧井さんは話します。

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