今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
魔術的に何かに引き込まれていくということ
今週のさそり座は、神の荒ぶる息吹きに触発されていくような星回り。
『猪がきて空気を食べる春の峠』(金子兜太)という句のごとし。山で遭遇する猪は、とにかくでかい!獣臭もすさまじい。目も野獣のそれ。なにより、特異なのはその息遣い。実際に耳にしたことがある人ならば、はるか古代から日本の山々を支配してきた凶暴な巨大生物であるということが、その息遣いだけで実感されてくるはず。
一方で、掲句にはどこか気抜けしたようなところもあります。「春の峠」という、いかにも童話に出てきそうな状況設定が、どこかゆるんだ空気感を作りだしている。しかし、それでも決して油断してはいけません。
あなたもまた、全身の細胞が活性化していくような良い意味での緊張感と胸の高鳴りとを、自身のバイブスに持ちこんでいくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ここより高い場所へ
今週のいて座は、日経平均だけでなく幸福の相場もまた、上昇させていこうとしていくような星回り。
20世紀を過ぎて、アリストテレスから近代のモラリストたち、そして功利主義まで伝統的に書き継がれてきた幸福論はぱたりと書かれなくなり、代わりに不幸論や苦悩論が盛んに書かれるようになりました。
ただ、一方で寺山修司は「幸福の相場を下落させているのは、幸福自身ではなく、むしろ幸福という言葉を軽蔑している私たち自身にほかならない」と言い、さらに「幸福が終わったところからしか『幸福論』がはじまらないのだとしたら、それは何と不毛なものであることだろう」と続けたのです(『幸福論』)。
あなたもまた、みずからに訪れた幸福や、これからつかみ取りたい幸福について、そのイメージを春の空気のようにたおやかに広げていきましょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
存在そのものへの転び
今週のみずがめ座は、だんだんアホになっていく自分をしみじみ実感していくような星回り。
『尻餅をついて掴みし春の草』(安積素顔)という句のごとし。作者は中途失明の盲俳人。
どこか哀れさとユーモアとが入り混じったような掲句の空気感には、硬質な淋しさを含んだ秋のあわれとは異なる、いかにも「春のあわれ」としか言いようのない、しみじみと人と人との境界線を侵してくるような愛らしさが漂っているようです。
あなたもまた、そうした「春のあわれ」に身を浸してみるといいでしょう。