今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
儀式としての虚脱
今週のかに座は、身体的な次元に立ち戻って「抜け感」づくりにはげんでいこうとするような星回り。
今の世の中が、ますます窮屈で棲みづらい世界になってきているように感じられるのは、いったんきちんとぶっ飛んだり、思いきり横道にそれたり、世間から雲隠れした経験をへることで“抜け感”を作るチャンスがほとんどないからなのかも知れません。
例えば、陰謀論や似非スピリチュアルにハマりがちな人というのは、大抵は“大真面目”に世間に適応しよう頑張りすぎているだけで、だからこそ袋小路に陥りがちなのではないではないでしょうか。
あなたもまた、まずは自身のこわばりや力みをとっていくことから始めてみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
脳みそ☆タピオカ
今週のしし座は、ただひたすらにゆるキャラとして舞台袖に突っ立っているような星回り。
『わだつみに物の命のくらげかな』(高浜虚子)という句のごとし。そこに来ての「くらげ」というのは、言わばタピオカミルクティーの中のタピオカみたいなものと言ってしまっていいかも知れません。
すなわち、世の中にたくさんある有象無象のひとつであり、確かに話題にのぼったり人気もあったりするが他にはない味というのは別にない代わりに寒天のような質感だけがそこにあり、本人としてはそれ以上でもそれ以下でもないという感じでそこらを浮かんでたゆたっている。
あなたもまた、カッコいいけどベタなストーリーを脱ぎさってタピオカのつぶつぶのごとくそこらに浮かんでみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
沖に出る
今週のおとめ座は、しがらみの外へと誘ってくれる何かに身を浸していこうとするような星回り。
南海の孤島にたてこもり、180名の部下たちと特攻作戦に従事し、逃れられぬ死の呪縛の中で出撃命令を待つ、局限的な状況を描いた戦記小説である島尾敏雄の『出孤島記』。この小説には、特攻隊の基地のある浦のどこか陰のある景色とは対照的な筆致で書かれた、浦の外側、その外界へと抜ける岬の描写が登場します。
浦の外側へと抜けていく描写は、本来は決して交わりえない、軍という公的世界の規律が海=女性という自然の律動へと開けていく奇跡的な交わりの光景でもあったのです。
あなたもまた、そうした規律から律動への開けとひとつになっていく流れが強まっていくでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
涼風と鬼
今週のてんびん座は、月並みな予定調和をあえて突き破っていこうとするような星回り。
『どの子にも涼しく風の吹く日かな』(飯田龍太)という句のごとし。掲句がつくられた時、たまたま一日涼しい風が吹いていたのでしょう。
人間的な配慮や気遣いとはかけ離れたところで吹いた風を受けた子どもたちは、間違っても徒競走でゴールする際に、手をつないで横一列でゴールするようなバカげた真似をすることはないはず。しかし、涼しい風は同一の競技だけでそれぞれに個性の異なる人間の価値を十把一からげに判断するような座組みそのものも解体していくのではないでしょうか。
あなたもまた、過剰な同調や帳尻合わせを迫られる人間関係からおのずと離れていくことになりそうです。