今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
こんな夢を見た…
今週のさそり座は、自分や自分の持っているものを社会に向かって開いていこうとするような星回り。
江戸時代において尊ばれた、「私しない」ことを守ればそれでいい、という価値観は、言ってみれば自分の財産、才能、家族、仕事、立場、地位などを自分のためだけに使わず、世間のために使うよう心がけることを意味していました。
例えば比較文化研究家の田中優子は、そうした価値観を体現していた人物として、大阪の酒造業者をしていた木村蒹葭堂(けんかどう)を挙げています。
あなたもまた、少なからず世間の媒体になりきってみるよう促されていくことでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自画像の更新
今週のいて座は、自分自身のなかに文脈的な新しさを再発見していくような星回り。
『学会の夜のホテルに泳ぎけり』(杉田菜穂)という句のごとし。
「学会」というどことなく堅苦しく息の詰まる雰囲気を連想させてから、夜にホテルのプールで泳いでいる情景が繰り出されることで、読者に強いカタルシスを感じさせてくれる一句。この場合「泳ぎ」が夏の季語ですが、あまりの類例にないような新鮮さがあります。
あなたもまた、普段行かない場所へ行ってみたり、あまりやったことのない行動を取り入れることで新たな自分を発見する喜びを追求していくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
やんごとなき他力
今週のやぎ座は、手綱のきかない暴れ馬のごとき現実にまたがったまま、フーッと力を抜いていくような星回り。
悲劇が盛んに作られ、語られた古代ギリシャには、個人の自立を絶対的なものと考える現代の私たちがイメージするような意味での「自由意志」をあらわす言葉さえありませんでした。
その点について、ギリシャ学者のヴェルナンは『ギリシャ思想の起原』において、悲劇における登場人物たちには加害者である側面と被害者である側面が混ざり合っているけれど、それらは決して混同されることなくその両方の側面があるのだという、大変重要な指摘をしています。
あなたもまた、いつも以上に「自由意志」を超えたところで自分を突き動かしている何かにいっそ身を委ねてみるといいでしょう。