今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
闇の中の転換
今週のかに座は、つまらない感傷をはさまずに自身のちっぽけさをどこまでも痛感していくような星回り。
『冬の峠夕闇のほか登り来ず』(衣笠葉)という句のごとし。
掲句のよさはそういうものを作者が心のどこかににじませつつも、それでいて夕闇の迫りくる峠のきびしい山気に身をゆだね切って、みずからの存在を忘れてしまっているような深いトリップ感にあるように思います。
あなたもまた、自身を包み込んでくれるような大いなるものに、身をあずけていきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
分断をのりこえる原動力を
今週のしし座は、いったん今の自身の境遇を思いきり遠くへ押しやって、カメラにおさめていこうとするような星回り。
かつてわが国では、切腹を目前とした武士がみずからの確実な死を前にした心境を伝えるべく、どこか厳粛なものとして「辞世の句」を詠んできたと伝えられています。
喜劇王のチャップリンはかつて「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇だ」と言いましたが、俳句の形式を借りた辞世句というのも、いつも間近すぎて意識できない自分の人生を、思いきって遠くへ押しやってみることで得られた一瞬の光景であり、その時どきの人生に付けられたエンドロールの一幕のようなものなのかも知れません。
あなたもまた、みずからの執着や心の中のわだかまりを解きほぐすためにも、ユーモアを忘れずに辞世句を詠んでみるといいかも知れません。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
いのちをめぐる復習
今週のおとめ座は、時代の痛みを自分なりに受け止め、深めていこうとするような星回り。
『火事かしらあそこも地獄なのかしら』(櫂美知子)という句のごとし。
これは単に目の前で起きている出来事への反応というより、社会の方々で多くの人が地獄を見ているような時代の空気感をあざやかに描き出してみせてくれているのかも知れません。
あなたもまた、少なからず自他の痛みや苦しみをつないでいくことがテーマとなっていきそうです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
野性的な豊かさを
今週のてんびん座は、自分が複雑な産業システムの歯車にならないための一手を打っていこうとするような星回り。
哲学者の戸谷洋志は『スマートな悪 技術と暴力について』において、ナチスを例に挙げ当時ユダヤ人の虐殺に加担した人びとはまともな良心を持たない人でなしだったのではなく、「まるでスマートフォンのシステムが自動的にアップデートされるように、良心を自動的に更新されてしまった」のだと指摘していています。
戸谷によると、みずからのライフスタイルを自分の手足と道具で作りあげていこうというある種のDIY精神や、その大前提として、自分にとってどんな暮らしが心地いいのかをよく知り、心地よさを感じている自分と仲良くしていく力がますます重要となってくるとのこと。
あなたもまた、みずからの理想の道具を思い描きつつ、まずは自分が何を食べ、いかに住まい、日々どう振る舞っていくことが心地いいのかを改めて振り返ってみるといいでしょう。