今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
さみしくなければ人ではない
今週のさそり座は、何の証明も合意も形成されないまま、自分の中だけで芽生えた思いをこそ大切にすくいあげていこうとするような星回り。
『缶切りの一周さびし冬の夜』(対馬康子)という句のごとし。兆し/萌しのレベルでの淡い付き合いが発生していた何かとの関係に、やっと確かな実感を伴って輪郭もはっきりしてきたころには、すでに関係の種類が変わってしまっているわけです。
しかも、もとの「淡い付き合い」というのは大抵はほとんど他者との合意に基づいて言葉にされることなく、自身のなかで透明な芽が出てくるくらいで終わってしまう。
あなたは、普通なら場末の幽霊のように現われては消えゆく他ない“思い”や“感じ”をこそ大切にしていきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
すべてこれ夢一場
今週のいて座は、合理的な判断以外のところからの情報をみずからの判断に盛り込んでいこうとするような星回り。
地震大国に暮らしてきた日本人は長らく自然と近いところで生きてきた民族であり、そうした類例と見なせるような事象は歴史的にも見出すことができます。
例えば、精神科医の新宮一成は『メディアと無意識』のなかで、災害や疫病、飢饉などが多発していた中世日本社会においては、貴人と一般庶民の区別なく、自分の見た夢を他者と共有したり、言及しあう情報空間が構築されていたのだと述べています。
あなたもまた、自然と現代における「夢の民主化」の一端を担うような受信を自分でも気付かないところで行っているかも知れません。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
なんとかやっていくために
今週のやぎ座は、余裕を失うほどに急ぎすぎず、かと言って悠長にたらたらするでもなく、今の自分らしいペースを確立していこうとするような星回り。
『中年の華やぐごとく息白し』(原裕)という句のごとし。作者の意識には、自信が働ぎ盛りであることや、生活力のたくましさ、重くのしかかる責任感などが複雑にからみあっているのだと思いますが、けっして自分をきらびやかに演出してみせようとか、過剰なセレブアピールをしているわけでもありません。
華やぐように見えながらも、見え始めた限界や生活の疲れ、増してきた人生の陰翳など、中年の微妙な年齢感というものを、作者は「息白し」と結びつけることで的確に捉えようとしたのではないでしょうか。
あなたもまた、過不足なく自分の背中を押していくためにも、呼吸の仕方や歩き方を意識して整えてみるといいでしょう。