今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
傍観者から行為者へ
今週のかに座は、わりと長い間先送りされてきたり、こねくり回されてきた決断がおのずと促されていきそうな星回り。
13世紀の僧侶である、明恵上人の見た次のような夢を検討してみたい。夢に出てくる明恵自身は、誰がどうということではなく、それらをもろとも含んだ存在が人為によらずに、おのずからの流れのうちにあるということを意味しているのではないでしょうか。
「大きな澄んだ池があった。私は大きな馬にまたがり、池の中で遊んだ。馬はとてもよく餌が与えられていた。それから(私は)熊野に詣でようとしていた。」(『明恵上人夢記』)
あなたもまた、器から水が溢れてくるかのように満を持したアクションがおのずと繰り出されていくことになりそうです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
蝶は神である
今週のしし座は、鬼気迫るような必死さを取り戻していくような星回り。
『凍蝶の己(おの)が魂追うて飛ぶ』(高浜虚子)という句のごとし。
たかが蝶、たかが虫と言うだけではとても済ませられないような、鬼気迫るような必死さがあり、それは蝶の象徴する天上的であると同時に内向的で、優美でありながらどこか破壊的な、生きることを巡るそんな響きを表しているように思います。
あなたもまた、胸の内に秘めていた苦しさや危うさが一気に感情に乗って浮上してきやすいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
隠れた疑問の浮上
今週のおとめ座は、より自由で、力を持った自分になっていこうとしていくような星回り。
10代前半の娘が40代前後の男性に嫁いで、あとは子育てと機織りに専念させられながら、家庭内での女性の権限も強くなかった典型的な家父長制社会であったアテネ人に対して、スパルタ人社会の女性の地位はずっと高く、一妻多夫的な関係が築かれていました。
スパルタ人女性のことをアテネ人は「女らしくない」と揶揄していた一方で、アテネの哲学者プルタルコスなどは、スパルタ人の一妻多夫的な慣習を家父長制の支配こそ受けていたものの「嫉妬や独占欲にとらわれない関係性」だとして評価していました。
あなたもまた、そうした古代のスパルタ人女性たちの在り方に大いに触発されていきやすいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
嘘から出たまこと
今週のてんびん座は、健全な自己愛を養うのに必要不可欠な環境や条件を求めていくような星回り。
『水仙に狐あそぶや宵月夜(よいづきよ)』(与謝蕪村)という句のごとし。
水仙の学名ナルキッソスは、ギリシャ神話につたわる水鏡にうつる自分の姿に恋い焦がれ、ついに衰弱死して水辺に咲く一輪の水仙になったという美少年の名前からであり、フロイトはこれをのちに「自己愛」として取り上げましたが、掲句のような自己愛であればそれは健全な範囲内という気がしてきます。
あなたもまた、自分が人生のうちに何度でもそれを体験したいと思えるようなハイライトシーンを夢想していきやすいでしょう。