今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
不意に馬鹿になる
今週のかに座は、「世界にいながら属さない」ことにもっと慣れていこうとするような星回り。
吉福伸逸は、人間の変成意識状態について取り扱ったトランスパーソナル心理学を日本へ最初期に紹介した人物であり、伝説的なセラピスト。
遺稿集である『世界の中にありながら世界に属さない』の中で、人間の本来をどう取り戻すことができるか、そのために何を大事にすればいいのか、およそセラピストらしいセラピストが決して言わないようことまで含めて(むしろそれが目玉かもしれない)、じつに率直に語っています。
あなたもまた、普通なら「なんて馬鹿なことをするんだ」っていうような愚かなことを、何か一つでもやってみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
新しい地図を
今週のしし座は、「結局は同じことの繰り返しになるに違いない」という思い込みから捨てていこうとするような星回り。
『パラフィン紙夏の名前をかんがへる』(宮崎佳世乃)という句のごとし。
決して安易に情緒に訴えたり、目につく自然を讃える訳でもなく、あくまで極限まで淡く、あいまいな輪郭のまま、自身がとらえているリアリティを未定形の記憶に封じ込め、そこから新たな詩作/思索を始めようとしているこの作品は、俳句という形式を借りた、きわめて現代的な実験装置と言えるのではないでしょうか。
あなたもまた、手垢のついた意味と意味、人と人との結びつきをまずは大胆に切り捨ててみることから始めてみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
捨てて捨て得ぬもの
今週のおとめ座は、「こうであらねば」というこれまで負っていたタガがどこか外れていくような星回り。
幕末から明治にかけて、井月(せいげつ)という漂泊の俳人がいました。30代半ばを過ぎて、どこからともなく長野県の伊那谷の地にやってきては、家も持たず、家族も作らず、ここに一泊、あそこに一泊と、一所不在をつらぬいて、およそ30年にわたり放浪生活を続けていったのだとか。
そしてその際、泊めてもらった家の者への一宿一飯のお礼として祝福の句を置いていったのだそうです。
あなたもまた、影響を受ける先というか、自分が何かしらの責任をもって応えていく相手や場に、何かしら新風を吹き込んでいくことになっていくでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「汝自身」とは?
今週のてんびん座は、あいまいな共在を受け入れるだけの余地が、すっと開けていくような星回り。
『ゆやけ見る見えざるものと肩を組み』(市川勇人)という句のごとし。
日本人が歴史的に培ってきた宗教性には、「存在しないもの」を存在しているかのように感じる「あわい」の精神がありますが、これは善と悪、神と悪魔、現実と超越とを峻別する西洋の神学的二元論とは異なり、霊的存在とのあいまいな共存を受け入れる柔軟さに支えられた日本独自の世界観と言えるでしょう。
あなたもまた、日本的信仰の静かな発露を、突拍子もないところで実感していくことができるかも知れません。