今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
アレと私の物語
今週のさそり座は、「アレ」との折り合いをつけていくことで、自分なりの祈りを深めていこうとするような星回り。
『人生の親戚』というのは、大江健三郎の小説のタイトルである。これは二人の子どもを、自殺という形で一挙に失ってしまった倉木まり恵という中年の女性が、その後の人生をどのように生きてゆくか、そして深い心の傷は癒され得るのか、ということを描いた作品。
まり恵は自身の身に起こった痛ましい体験を「アレ」と呼んでいた。あまりに理解不能で、困惑するほかない現象を前にして、そういう代名詞で呼ぶしかなかったのだろう。
あなたもまた、「アレはいったい何だったのか」「アレはそんな意味を持つのか」と、改めて自分の胸に問い直してみるといいだろう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ペースダウンをはかる
今週のいて座は、呑気でいられる技術を磨いていこうとするような星回り。
『無職なり氷菓溶くるを見てゐたり』(真鍋呉夫)という句のごとし。
掲句が示しているのは単なる怠惰ではなく、むしろ現代人がすっかり苦手になってしまった行為に他ならず、それは社会の速度に巻き込まれず、目の前の小さな変化を時間をかけてゆるゆると見守ることだったり、相手や周囲の期待から外れていながらアッケラカンとしていられるだけの「呑気さ」の発揮だったりするわけです。
あなたもまた、そうした世間や社会に対する無言の抵抗を密かに進めていくことが一つのテーマとなっていくでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ビョーキでゲンキ
今週のやぎ座は、「職業というより中毒」を地で行こうとするような星回り。
92年近くの人生で78冊の書籍を出版した作家のサマセット・モームは、毎日午前中の3、4時間かけて1000から1500語執筆することにしていたのだと言います。
2004年に出版されたモームの伝記作者ジェフリー・マイヤーズによれば、「それは職業というより中毒だった」「モームにとって書くということは飲酒と同じで、はまりやすく抜けるのが難しい習慣だった」そうですが、考えてみればそういう中毒や癖を仕事にできるのならそれにこしたことはないのではないでしょうか。
あなたもまた、そうした楽しみを「当然のように」取りあげようとする大義名分や正論めいた物言いは、さっさとゴミ箱に放り投げてしまうべし。