2019年3月29日、改修工事のため3年ほど休館していた「東京都現代美術館」が遂にリニューアル・オープン!新しい飲食店が入った他、所蔵作品が400点も増えました。新しくなった部分や開催中の展覧会を紹介し、アートを楽しむ優雅なひとときをご提案します。
約3年ぶりに帰って来たアートスポット/東京都現代美術館
東京メトロ・清澄白河駅のB2出口から徒歩約10分。木場公園の一角にある東京都現代美術館のメインエントランスに到着です。1995年3月にオープンした現代アート専門の美術館で、5,400点もの作品を所蔵しています。
約3年間の改修工事を経て、2019年3月29日にリニューアル・オープン。天井の耐震性の向上、照明のLED化、エレベーターや多目的トイレの増設などが行われた他、中庭などパブリックスペースの整備、作品の修復等が実施されました。
長いエントランスホールや、特徴的なV字型の柱と丸い穴が無数に開いた壁は、以前のまま。差し込む光が、床に美しい模様を作り出します。
変わったのは什器。サインボードやチケットカウンターは木製、丸いベンチはコルク製となり、前より軽やかな印象になりました。
木場公園に面したパークサイドエントランス付近も椅子やテーブルが設置され、公園の続きのように館内に入れるように。
今回のリニューアル・オープンを記念して、2019年6月16日(日)まで大規模な2つの展覧会を同時開催中。まずは「MOTコレクション ただいま / はじめまして」(2019年6月16日まで)をのぞいてみましょう。
コレクション展「MOTコレクション ただいま / はじめまして」
アルナルド・ポモドーロ《太陽のジャイロスコープ》1988年
コレクション展示室に入ってすぐにあるのは、総重量約5トンという巨大な彫刻作品。以前は屋外に設置されていた「太陽のジャイロスコープ」です。修復されてブロンズ本来の輝きを取り戻した同作品は、初めての人はもちろん、知っている人にも大きなインパクトを与えるはず。
マーク・マンダース《黄色のコンポジション》2017 - 2018年
新たに約400点の作品が加わったことを踏まえ、今年度のコレクション展では新収蔵作品を中心に紹介。第一弾となる「MOTコレクション ただいま / はじめまして」では、主に2010 年代に制作された作品にスポットを当て、作家ごとに楽しめるようになっています。その一部をご紹介しましょう。
今にも崩れそうに見えるマーク・マンダースの作品は、実はブロンズ製。作家本人が設営したという、ビニールシートに覆われた空間もユニークです。
サレ・フセイン《アラブ党》2013年
写真資料をもとに描かれたモノクロームの「アラブ党」は、100点のカンヴァスから成る作品。アラブ系インドネシア人の独立運動の歴史をテーマにしているんだそう。
寺内曜子《ホットライン 113》2017年
電話ケーブルと、中に納まっていたカラフルな細いコードを引き出した「ホットライン 113」は、一貫して裏と表、内と外といったものをテーマにしている作家らしい作品。ちなみに113は、NTTの故障相談窓口の番号です。
宮島達男《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》1998年
この空間に合わせて制作され、1998年から設置されているのは、赤色のデジタルカウンターを使った宮島達男の作品。修復によって当初の明るさを取り戻しました。
それぞれ異なるスピードで1から9まで表示する1,728個のLEDは、不思議な吸引力を持っています。向かいに設置されたベンチに座って、好きなだけ眺めてみて。
鈴木昭男《道草のすすめ―「点 音(おとだて)」and “no zo mi”》
コレクション展示室を出る前に、出入口の脇にある扉から屋外展示場に出てみて。広さの割にあまり知られていなかった空間に、今回新たに世界的なサウンド・アーティストである鈴木昭男の作品が設置されました。
何事にもスピードが求められ、道草しにくい現代。深呼吸するように、ときどき耳を澄ませてほしい。そんな想いが感じられる同作品は、世界30都市以上で設置されてきた人気シリーズ。耳と足を合わせたマークの上に立ち、周囲の音に耳を傾けてみて。
このインスタレーションは、屋外展示場以外にも敷地内の様々な所に設置されています。歩きながら探してみると楽しいですよ。