会うだけで元気をもらえる!というエネルギーを持っている人もいれば、あの人といると疲れる…。という人もいます。スピリチュアルなことを信じている信じていないに関わらず、誰でも人が放つエネルギーはなんとなく感じていますよね。今日は、自分が持っているエネルギーを無駄に消費しないためのヨガ哲学をお届けします。
伊藤香奈
ブラフマチャリヤ(禁欲)の実践
ヨガでは、八支則(はっしそく)と呼ばれる基本の哲学があります。その中の第1ステップが「ヤマ」と呼ばれる「これはやらないようにしましょう」という教え。第二ステップは「ニヤマ」と呼ばれる「これを進んでやってきましょう」という教えです。禁戒と呼ばれるヤマは5つあり、その中の1つに「ブラフマチャリヤ(禁欲)」という教えがあります。禁欲という言葉からは、性的欲求を抑えるという意味だけと捉える人もいますが、それだけではなくエネルギーを無駄に消費しないという意味合いも含まれています。実は、こんなこともエネルギーの消費…。私達が生活の中で何気なくやってしまうことも、実は無駄なエネルギーをたくさん消費しています。
1.ウソをつくことは無駄なエネルギー消費
人は色々な理由でウソをつきます。もちろん必要な場合もありますが、ウソをつくとかなりのエネルギーを消費します。例えば、他の人との話の中でもウソに対してつじづまを合わせる必要があるため、誰にどんなウソをついたか、記憶しておく必要があります。その記憶するエネルギーや、つじつま合わせの為の会話は、すべてウソをつかなければ必要のないもの。つまり無駄なエネルギーを消費していることになります。
2.怒りの感情を持つことも無駄なエネルギー消費
ヨガでは、感情を馬に例えて語ります。自分自身は、感情という馬を操る馬車の御者です。もし、馬が暴走をしてしまった場合、馬を止める労力も使いますし、暴れ馬に引っ張られて右に左に体を振られ、振り落とされないように踏ん張るのも大変です。感情(=馬)を暴走させてしまうことは、無駄なエネルギーを消費することなのです。
どちらも、プライドを守りたい自分の感情や、怒りという感情を自分でコントロールできれば、無駄なエネルギーの消費は起こりません。ブラフマチャリヤの教えは、無駄なエネルギーを消費しない=自分の感情に踊らされない、ということを伝えています。そして、自分の感情を制御できるようになるための練習が、ヨガなのです。
ヨガ哲学は難しくない!
「ブラフマチャリヤ」という言葉や、禁欲というワードだけを耳にすると、ヨガの哲学は小難しそうという印象を受けますが、伝えたいことは「おばあちゃんの知恵袋」や日本の古くから伝わることわざと同じです。ウソをつかないということは、「ウソをつくと閻魔様に舌を抜かれるよ!」という教え=嘘をつかないようにしましょう、であったり、「笑う門には福来る」という教えも、(いつまでもイライラしてないで)いつでもニコニコしていましょう、ということ。ブラフマチャリヤの無駄なエネルギーを消費しないという点と、伝えたいことは一緒ではないでしょうか。
ヨガの哲学は何千年も昔から言い伝わる、賢人の知恵袋。あなたの日常に役立つヒントも、きっとたくさん詰まっているはずです。ヨガはポーズだけ楽しんでいればいいや!と思っている方も、難しく考えないで気軽にヨガ哲学に触れてみてはいかがでしょうか。
ライター/伊藤香奈
2012年、全米ヨガアライアンス200時間を取得。新規ヨガイベントの立ち上げや新人講師発掘オーディションのプロデュース責任者等を歴任。800人以上のインストラクターと出会い、現在ヨガ雑誌やイベントの第一線で活躍するインストラクターを数多く育成、輩出する。2017年に、セミナー講師、ヨガインストラクター、ヨガワークライフコンサルタント、ヨガインストラクター向けキャリアアドバイスセミナー講師として独立。